看護師教育が4年制に?! 日看協が考える4年制化のメリットとは 

2016年度 日本看護協会第1回記者会見

日本看護協会(以下、日看協)は2014年度重点政策・重点事業の一つとして「看護師基礎教育の4年制化」を打ち出した。
「看護師基礎教育の4年制化」とは、4年制看護系大学以外の看護師養成校(専門学校など)での教育を現在の3年から4年にするということ。なぜ今、日看協がそれを求めるのか、またその理由について、坂本すが会長が説明した。


看護基礎教育の4年制化について説明する坂本会長

 

坂本会長が述べた看護師基礎教育の4年制化が必要な主な理由は以下の3つ。
・医療・看護を取り巻く状況の変化
・新人看護師の現状
・看護師基礎教育の現状

 

特に、新人看護師の現状では、新人看護師の知識・技術不足による医療安全上のリスクの高まりが懸念されていることを挙げ、新人看護師によるヒヤリハットおよび医療事故に関してのデータを紹介。

 

それによると、2014年の看護師によるヒヤリハット報告件数は2万7,393件、その中でも経験年数が1年未満の新人看護師のヒヤリハット件数は5,820件と21.2%を占めている。
また、医療事故では新人以外が起こす薬剤関連の事故は8.1%であるのに対し、新人は15.4%と約2倍となっているという。

 

こういった新人看護師が起こす医療安全上の問題の多くは、新人看護師の知識や技術不足が原因であるというのが日看協の見解であり、安心・安全の医療提供のためにも4年の教育時間が必須であるという。

 

現在の看護師基礎教育は、1996年には在宅看護論、精神看護学、2009年には看護の統合と実践と、カリキュラムの改正時に領域数は増えたものの、総教育時間数は増加していない
そのため、各領域ごとの講義や演習、実習の時間数が減っており、これが新人看護師の知識・技術不足の原因の一つだとしている。

 

看護師基礎教育を4年にすることについては、実は日看協は以前から要望していたものの、日本医師会は反対の立場をとっている。
まずは看護大学での統合カリキュラム(看護師3年,保健師・助産師1年の合計4年)から保健師・助産師教育を分離させ、看護師の教育を4年にし、成果を提示すべき、という理由などからである。

 

こういった意見については、坂本会長は「理想的には大学も」と述べつつ、「まずは養成校での4年制化を目指す」とする。
現在、全国の看護師養成校(専門学校)は527校あるが、それぞれの定員数はそう多くないことから、日看協としては可能であると判断したという。

 

看護師国家試験の受験条件や、看護師学校養成所の指定基準として、修業年限が法律により定められているため、4年制化の実現には法改正も必要となる。
これについても、坂本会長は「法改正なくして4年制は実現しない」と述べ、今後は、国に対して法改正を求めていくという。

 

【看護roo!編集部】

SNSシェア

コメント

0/100

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆看護技術の問題◆指先の血糖測定で、穿刺前に指を温める理由は何でしょうか?

  1. 感染予防のため
  2. 消毒のため
  3. 血液が出やすくなるため
  4. 患者さんとコミュニケーションをとるため

1488人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

9078人の年収・手当公開中!

給料明細を検索