「太平洋・島サミット」の活動から考えるDMAT現場活動の基本|「日本集団災害医学会総会・学術集会より

国内外における災害時の医療や防災業務に携わるさまざまな職種が参加する集団災害医学会総会が、2016年2月27(土)~29日(日)に山形で開催された。東日本大震災以降、はじめて東北地方で開催された同学会の「21回日本集団災害医学会総会・学術集会」の様子をレポートする。


ポスターセッションで報告する伊藤氏

 

「これがもしテロだったりすると、と考えるとヒヤッとした」――第7回太平洋・島サミット(PALM7)」での地域DMATとしての活動内容を、伊藤和恵氏(医療法人辰星会枡記念病院)が報告した。

 

第7回太平洋・島サミット(PALM7)」は、2015年5月22~23日に福島県いわき市で開催され、日本、ならびに太平洋諸島フォーラム加盟国17ヵ国の首脳などが参加した。
伊藤氏が所属する枡記念病院DMATが福島DMATとして登録したのは2014年の8月であり、
伊藤氏を含む枡記念病院DMATチームにとってはまだ活動歴が浅い中での同サミットへの参加でもあった。

 

当日の枡記念病院DMATチームは、医師1名、看護師3名(うち、調整員との兼務1名)、調整員3名(うち、看護師との兼務1名)の6名で、国立災害医療センター、福島県立医科大学と合同で救護班本部の立ち上げやヘリポートの作成などを行ったという。

 

そんな中、サミット終盤に会場で「人が倒れた」との報告が入り、現場に向かった枡記念病院DMATチームは、消防隊よりも先に現場に到着し、患者に接触した。
しかし、本来ならマスクやヘルメットなどの防護具を身につけて患者に接触しなければならないところ、それらの防護具を身につけないままだったという。「報告を受けて、『早く現場に行かなければ』と思ってしまった」と伊藤氏は振り返る。

 

さいわい、患者は軽症であり、無事に搬送されたが、報告の中で伊藤氏はDMATの現場活動の基本である「1. 自分の安全、2. 現場の安全、3.傷病者の安全」について触れ、「本来であれば、きちんと防護具を身につけ、消防隊の到着を待つなどで現場の安全が確保されていることを確認のうえ、患者に接触しなければならなかった」と振り返った。

 

枡記念病院は救急拠点病院ではないとのことだが、二次救急医療機関として、いざ災害が起こった場合は多数の患者を受け入れることになる。そのため、「院内のパラメディカルの体制を整え、訓練を繰り返すことで現場活動の基本をしっかり身につけて、地域の災害医療体制計画をより強化していきたい」と述べて報告を終えた。

【看護roo!編集部】

 

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2016年2月27(土)~29日(日)
第21回日本集団災害医学会総会・学術集会

【会長】

森野一真(山形県立中央病院)

 

【副会長】

石井 正(東北大学病院)

眞瀬智彦(岩手医科大学)

 

【会場】

山形ビッグウィング(山形国際交流プラザ)

 

【学会HP】

日本集団災害医学会

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