ドクターヘリの出動が早くなる?「救急自動通報システム」に注目

交通事故発生時により早くドクターカーやドクターヘリを現場へ急行させ、救命率を上げるための試みが進んでいます。

 

NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net: ヘムネット)は、交通事故などの発生時に状況を自動通報し、ドクターヘリの早期出動につなげるシステム「救急自動通報システム(D-Call Net)」の試験運用をスタートさせました。

 

写真引用元: 日経プレスリリース

 

治療開始まで21分に、年間282人の救命が可能に

システムの活用によってドクターヘリの出動までの時間の大幅な短縮が可能となり、治療が開始されるまでの平均時間は38分から21分にまで短縮される見込みです。

試算では、すべてのドクターヘリにシステムが整備された場合、年間で282人の救命が可能になるということです。

 

交通事故発生時の対応には、もともとヘルプネットという緊急通報サービスがありました。

これは事故発生時、カーナビからすぐに通報できるシステムで、日本緊急通報サービスが2000年から運用をスタートしています。

 

エアーバック作動で自動緊急通報

ヘルプネットは事故発生時にGPS機能を使って、位置情報がオペレーションセンターに送信されます。

データを受信したオペレーションセンターが車両情報などをもとに、迅速に消防やパトカーの手配を行うサービスです。

 

トヨタやホンダなどの自動車メーカーが対応車種を販売していて、緊急時にカーナビのボタンを押すだけでデータ送信できるほか、最新の車種ではエアーバックが作動すると自動でヘルプネットに通報が行くシステムを搭載しているものもあります。

 

「救急自動通報システム(D-Call Net)」は、このヘルプネットをさらに発展させたものです。

 

全国9か所のドクターヘリ基地病院とヘムネット、トヨタ自動車やホンダ技研工業、国土交通省、警察庁などが参画して開発が進んでいます。

 

「死亡・重症率」を表示

D-Call Netの最大の特徴は、事故発生時に位置情報だけでなく、過去10年におよぶ事故データをもとにした「死亡・重症率」データが表示される点です。

エアーバックが作動した際に、衝突した方向、衝突の激しさ、シートベルト着用の有無などの詳細な車両データをオペレーションシステムに送信することが可能です。

 

ドクターヘリ基地病院には、詳細なデータと過去の事故データをつき合わせた運転手・助手席の死亡・重症率を含んだデータが送信されるため、出動の必要性を早急に判断することが可能になります。

 

1分で事故データを送信、17年には40万台に搭載

これまでは通報からドクターヘリの出動までは平均10分程度を要していましたが、新システムでは、事故データは平均1分、最大3分で送信され、出動までの時間が大幅に短縮されると期待されています。

 

ホンダでは2013年6月に発売したアコード以降、メーカー純正ナビにD-Call Netを搭載。

トヨタではクラウンなどいくつかの上位車種にシテムを搭載していて、2017年には国内で約40万台がD-Call Netに対応する見込みです。

 

治療開始までの時間がその後の明暗をわける救急医療。

D-Call Netの運用が軌道に乗れば、さらなる救命率向上に期待が持てそうです。

 

(参考)

救急ヘリ病院ネットワークなど、救急自動通報システム(D-Call Net)の試験運用を開始(日経プレスリリース)

 

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