病児保育拡充へ動き―施設数増でも職員数はどうなる?

昨夏放送されたドラマ「37.5℃の涙」で描かれるなど、話題となっている「病児保育」の施設。

病児保育施設は、病気や病後で通常の保育園に通園できない乳幼児・児童を預かるもので、看護師の配置が義務付けられています。

 

政府は来年度から、このような病児保育施設の普及に本格的に乗り出すことを決めました。設置への補助金を手厚くしたり、看護師配置の要件を緩和するなどの対策によって施設数を増やすことが目的です。

 

子育てと仕事の両立支援を目指し、57万人(2015年度)だった利用者を、2019年度には約3倍に増やす計画ですが、看護師・保育士等の職員の拡充については触れていません。

 

 

全国に1800 施設 子ども10人に1人の看護配置

病児保育施設では病気やケガで普段通っている保育園・幼稚園に行くことができず、親が仕事などで介助できない子どもを預かります。

 

病児保育の施設は現在、病院や保育所などに全国約1800か所設けられています。

施設は一般的に病気の回復期まで預かる「病児対応型」、回復期の子どもを預かる「病後児対応型」の2タイプがあり、子ども10人につき1人以上の看護師を配置することが基準です。

 

引き取り制度もスタート:職員の拡充が課題

来年度からの助成は、施設を建設・改修する費用の3分の2を、厚生労働省と都道府県・市町村が負担するという内容になります。これまでは病院などの建物全体の整備に合わせて助成していましたが、施設単独の整備でも支援するということです。

運営費の助成を受けるには、原則として看護師の常駐が義務づけられていますが、見回りなどの体制を組めば常駐を免除されるようになります。

 

また、仕事で手が離せない保護者に代わり、施設の職員が一般の保育所に病気の子どもを引き取りに行く取り組みへの助成も始まります。

病児保育施設の設置がしやすくなっても、職員への負担が増し子どもたちへのケアに影響が及んでは本末転倒です。今後は職員の拡充が大きな課題になりそうです。

 

看護師に求められるスキルは「判断」「感染対策」「柔軟性」

病児保育施設では、子どもの容態が急変するケースや、医師に診せる事案かどうかを瞬時に判断しなければならないことが多く、確かなスキルと経験が看護師に求められます。

 

特に、感染症に患った子どもが多いため、自分自身は勿論、施設内で働く職員や他の子どもに感染させないよう、感染対策について高度な知識が必要とされます。

小さい子どもに対応できる柔軟性や、共に働く保育士とうまく連携できる対人スキルも求められます。

 

一日中子どもの容態を見守らなければならないため、気の休まる時間がありませんが、現職の看護師からは「やりがいがある」「子どもの笑顔を助ける仕事に就けてうれしい」という声が上がっています。

 

病児保育に携わるのに必須ではありませんが、全国病児保育協議会が認定する民間資格、「病児保育専門士」(受験資格は看護師か保育士免許保有者に限る)や、「認定病児保育スペシャリスト」(日本病児保育協会認定)を取得して技術向上に努める人もいます。

 

(参考)

保育園看護師の仕事

病児保育施設、設置を後押し…厚労省が助成制度(ヨミドクター)

全国病児保育協議会

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