患者さんが個人番号を持つとどうなる?「医療分野の番号制度」でできること

 

国民一人ひとりに番号が付与される「マイナンバー制度」が2015年秋から実施予定ですが、それとは別に、医療分野における番号制度を導入するための議論が進んでいます。医療と介護の連携促進や救急診療での情報確認、がん情報の把握、患者自身による健康管理など、さまざまな面から番号活用によるメリットが期待されています。

 

昨年末にまとまった、厚生労働省の『医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会』中間まとめから、現段階でわかっている医療分野における番号制度をまとめました。

 

そもそも「医療分野の番号制度」とは。「マイナンバー」とは別?

医療分野における番号制度は、年金や雇用、税、社会福祉に関する情報を統一して管理するために、国民1人1人に割り当てられる、いわゆる「番号制度 (マイナンバー)」とは別の番号制度を導入するという方向で議論が進められています。

 

医療における個人情報とは、病歴や服薬歴、検診結果など、第三者に知られたくない情報だからです。そのため、いわゆる全国民に付与されるマイナンバーとは別に、本人の同意を得た上で、共有できる病歴の範囲を患者自身が選択できる、何らかの仕組みが導入される予定です。

 

そのため、いわゆるマイナンバーそのものを医療機関が扱うことはありません。安全性、財政的な効率性を考慮した上で、政府では「住民票コードやマイナンバーから変換して作った、見えない番号 (ICチップに情報をのせるなど)」を希望者に提供する仕組みを検討しています。

 

医療分野の番号制度でできるようになること

医療分野における、番号を活用した連携場面と期待される成果は、次のようなものが想定されています。

 

(1)医療保険のオンラインでの資格確認

オンラインでの資格要件確認で、請求事務を効率化できます。

 

(2)保険者間での加入者の健診データの活用・連携

健診データの活用によって、加入者の健康増進や医療資源の有効活用が期待できます。

 

(3)医療機関・介護事業者の連携

病院での検査結果をかかりつけ医の診察に活用したり、救急医療において過去の診療情報の確認ができます。また、医療・介護の連携によって、地域包括ケアの実現を図ります。

 

(4)健康・医療の研究分野 (コホート研究、データベースを活用した大規模な分析研究)

レセプトのナショナルデータベース (NDB)活用やコホート研究 (追跡研究)、大規模な分析研究に活かすことができます。

 

(5)健康・医療分野のポータルサービス (国民自らが予防接種や健康・医療の履歴・記録を確認、健康増進に活用)

国民が、自らの健康履歴を参照できます。また予防接種履歴を大人になってから確認することも可能となります。

 

(6)全国がん登録 (罹患、診療、転帰等の状況の把握)

全国がん登録の情報収集によって、罹患、診療、転帰などの状況を把握し、がんの調査研究成果を国民に還元できます。

 

上記の連携場面のなかには、例えば医療と介護の連携ではマイナンバーがなくても、すでに地域ごとに連携が進んでいるものもあります。しかし、政府は番号制度を導入することで、地域の枠組みを超えた広い範囲での、医療と介護の連携が可能になると考えています。

 

2017年以降 医療保険のオンライン化からスタート

政府のマイナンバー制度は今年秋からスタートする予定ですが、医療分野の番号制度はもう少し後になりそうです。まずは、医療保険のオンライン確認分野から取り組みを進め、番号制度の情報連携が稼働する、2017年7月以降の導入を目指すとされています。

 

プライバシーの面からも導入には慎重な対応が求められる番号制度ですが、医療と介護の連携や、医療資源の効率化などからも、導入に向けた取り組みは今後さらに加速していくことでしょう。

 

(参考)

 

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