最終更新日 2019/02/19

p53

p53とは・・・

p53(ぴーごじゅうさん、p53 gene)とは、がん抑制遺伝子の一つとして重要な役割を果たしており、細胞分裂の調整やDNAの損傷の修復などに深く関与している。

【構造】
p53は分子量53kD(キロダルトン)、アミノ酸393個から構成される核内タンパク質である。

【働き】
p53遺伝子は発がんに対してブレーキのような役割を果たすがん抑制遺伝子であり、その主要な働きとしては以下が挙げられる。
(1)細胞周期の調整
(2)アポトーシスの誘導
(3)DNAの修復
正常な細胞では、刺激やストレスに応じて他の遺伝子を働かせることで正常な機能を維持する役割を果たしている。それに対して、がん細胞ではこのp53遺伝子が正常に機能しなくなることから、その他の遺伝子変異が蓄積したり、あるいは細胞の異常増殖などが引き起こされたりすると考えられている。このような発がんに関する働き以外にも、最近では、組織形成や組織幹細胞の制御にも関連しているという知見も報告され、注目されている。

【臨床的意義】
p53遺伝子の遺伝子異常はヒトのがんの約50%に認められ、がんの発症において重要な役割を担っていると考えられている。また、p53遺伝子をターゲットとしたがんの治療法が報告されるなど、がんの治療・診断に対する研究がなされている。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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