最終更新日 2018/04/18

IgM

IgMとは・・・

IgM(あいじーえむ)とは免疫グロブリンの主要な5つのクラスの中の一つであり、初期免疫(一次抗体反応)で重要な役割を果たしている。 抗原が侵入するとまず最初に産生される抗体がIgMである。IgMは細菌同士を結び付けて凝集させる作用や、補体を活性化させる作用が強いとされる。その後、IgMは抗原に対する特異性は保ちながら、定常部(Fc領域)に変化が起こり、IgG、IgAといった他のクラスの抗体にクラススイッチされていく。

【IgMの働き】
IgMはJ鎖というポリペプチドにより結合された5量体であり、IgM単量体では抗原親和性は低いが、5量体であることより抗原結合部(Fab領域)が多くより効果的に結合できる。いったん結合すると古典的経路により、補体を活性化することが可能となる。IgMの補体活性能は高い。

図1IgMの構造


 
実臨床では、IgMは感染の初期免疫のときに産生されることを利用して、感染症の初期感染を診断する目的で測定されることが多い。(ヒトパルボウイルスB19IgM抗体、ムンプス特異的IgM抗体など)。

【臨床的意義】
IgMの異常値は、いくつかの免疫不全や血液疾患、自己免疫性疾患と関連している。高IgM症候群ではIgMからIgG、IgAへのクラススイッチが障害され、IgMが高値あるいは正常値を示し、IgG、IgAの産生が低下する原発性免疫不全症候群である。血液疾患では、原発性マクログロブリン血症においてIgMが単クローン性異常高値を示す。
また、IgMは自己免疫疾患における免疫複合体の重要な構成成分となっており、例えばIgG分子に対するIgM抗体はリウマトイド因子として有名である。リウマトイド因子は関節リウマチやその他の膠原病で高力価となることが知られている。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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