最終更新日 2017/12/15

WPW症候群

WPW症候群とは・・・

WPW症候群(だぶるぴーだぶるしょうこうぐん)とは、先天的に心房と心室の間に正常な刺激伝導路以外に副伝導路が存在する疾患である。

正式な名称はWolff-Parkinson-White症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)といい、3名の医師の名前の頭文字から名付けられている。

正常な心臓では、心房の興奮は房室結節とヒス束から右脚、左脚と刺激伝導系を通って心室へと伝わる。しかし、WPW症候群では、それ以外にケント束と呼ばれる副伝導路が存在する。そのため、心房の興奮はケント束からも心室に伝わり、それは房室結節を通るよりも早く伝わる。このショートした心室興奮波により心電図上でQRS波の立ち上がりにデルタ波と呼ばれる特徴的な波形ができる。

【症状】
普段は無症状だが、房室結節を通って心房から心室へ伝わった興奮がケント束を通って再び心房へ伝わり、心房と心室の間で電気刺激がくるくると回転するリエントリーという状態が生じると、頻脈発作(房室回帰性頻拍)が起こる。また頻度ははるかに少ないが房室回帰頻拍には心房から心室へケント束を介して伝導し房室結節を心室側から心房へ逆伝導して成立する頻脈発作も認める。

また、心房細動を合併すると、心房の頻繁な興奮がケント束を通って心室に伝わり、幅の広いQRSを呈する不規則な頻拍を呈することがある。まれに心室細動に移行し、致死的になることもある。

【治療】
心房細動を合併したWPW症候群では、通常、脈拍コントロールの目的で使用されるカルシウム拮抗薬、ジギタリス、β遮断薬は、房室結節の伝導のみを抑制し、副伝導路経由の伝導は抑制しないため、禁忌である。循環動態が不安定な場合は、速やかにカルディオバージョン(同期下直流通電)を行う。また、房室回帰頻拍や心房細動等の頻拍発作に対し根治療法としてはケント束をカテーテルで焼灼する治療(アブレーション)が行われる。

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