最終更新日 2023/09/26

流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎とは・・・

流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん、mumps)とは、ムンプスウイルスによる急性の耳下腺炎を伴う感染症で、正式には流行性耳下腺炎という。感染経路は飛沫感染・接触感染で、幼児~小児の発症が主である。おたふくかぜとも呼ばれている。

 

【症状】
小児に好発するが、感染しても症状が出ない不顕性感染も30~35%ほど見られる。

 

2~3週間前後の潜伏期間を経て、両側または片側の耳下腺の腫脹と疼痛(圧痛、嚥下痛)、発熱の症状が出る。腫脹は耳下腺に起こることが多いが、舌下腺顎下腺に起こることもある。
これらの症状は、通常1~2週間で軽快するが、症状が現れ始めてから48時間以内にピークに達する。

 

流行性耳下腺炎は、さまざまな合併症を起こすことがある。代表的なものとして髄膜炎炎、難聴(ムンプス難聴)、膵炎などがある。
なお、成人が感染した際の合併症には、卵巣炎や精巣炎がある。

 

【検査・診断】
臨床現場では、血清抗体検査により診断を行うことが多い。
その他、ウイルスの分離・同定検査や遺伝子検査PCR検査など)によっての診断も可能となる。

 

ただし、こういった検査は結果が出るまでに時間がかかるため、症状や過去の罹患歴、ワクチン接種歴などから判断する場合もある。

 

【治療法】
直接的な治療法はなく対症療法のみとなる。

 

【予防】
予防には生ワクチンが有効で、日本では任意接種である。1歳以降から接種可能であり、計2回の接種が推奨されている。

 

また、ムンプスウイルスの排出は発症後5日間程度とされており、学校保健安全法では「耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」は出席停止と定められている。

 

 

【引用参考文献】
1)岡 秀昭.感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022 Grande.メディカルサイエンスインターナショナル.2021,p596.
 

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