軟膏の塗布・湿布の貼付 | 外用薬の与薬【1】

【監修】

山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)

 

【執筆】

加治美幸 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)

 

 

「軟膏の塗布・湿布の貼付」とは

●薬剤を皮膚から吸収させる与薬方法のことである

 

「貼付薬」の種類

  • 局所作用製剤:局所的に作用し、貼付部位周囲の炎症や痛みを抑える薬剤のこと
  • 経皮吸収製剤:に全身に作用し、一定の血中濃度を維持する薬剤のこと。狭心症治療薬や鎮痛薬など

 

「軟膏の塗布・湿布の貼付」における禁忌

(1)貼付薬は、創傷部位や粘膜、湿疹・発疹がある部位には貼付しない

(2)塗布や貼付の量を誤ると、重篤な副作用が発現する可能性があるため留意する

 

「軟膏の塗布・湿布の貼付」の必要物品

指示書 軟膏(指示された薬剤) 貼付薬(指示された薬剤) トレイ ディスポーザブル手袋 塗布用・貼付部位の清拭用タオル 温タオル ビニール袋(廃棄物入れとして使用) 膿盆(廃棄物入れとして使用)

指示書 軟膏(指示された薬剤) 貼付薬(指示された薬剤) トレイ ディスポーザブル手袋 塗布用・貼付部位の清拭用タオル 温タオル ビニール袋(廃棄物入れとして使用) 膿盆(廃棄物入れとして使用)

  • 指示書
  • 軟膏(指示された薬剤)
  • 貼付薬(指示された薬剤)
  • トレイ
  • ディスポーザブル手袋
  • 塗布用・貼付部位の清拭用タオル
  • 温タオル
  • ビニール袋(廃棄物入れとして使用)
  • 膿盆(廃棄物入れとして使用)

 

「軟膏の塗布・湿布の貼付」の準備(共通)

(1)指示書の記載内容や、医師から患者さんへの説明内容を確認する

ポイント

患者さんに点鼻の説明をするため、医師の説明内容とその内容に患者さんがどんな反応を示すか、事前に知っておく

 

(2)医師による与薬指示が患者さんに適しているか、アセスメントする

■アセスメント項目

  • 患者さんの状態
  • 過去の副作用の有無
  • 薬剤の用法・容量・作用・副作用

(3)6Rを確認し、トレイに必要物品を準備する

 

■誤薬防止のため6R(Right)

  • 正しい患者(氏名、部屋番号など):Right Patient
  • 正しい薬剤:Right Drug
  • 正しい量:Right Dose
  • 正しい方法:Right Route
  • 正しい時間:Right Time
  • 正しい記録:Right Record

(4)衛生的手洗いを行う

(5)患者さんの本人確認を行い、軟膏・貼付の目的と方法を説明し、同意を得る

 

「軟膏の塗布」実施手順

(1)軟膏を塗布する部位の汚れや汗を除去する。塗布する箇所の皮膚を洗い流すか、タオルなどで十分に拭き取る

 

(2)軟膏を塗る。指先に軟膏をつけて、患部がしっとりと潤う程度に薄く塗布する。必要時、綿棒や綿球に軟膏をつけて塗布する

ポイント

一般的にステロイド薬は薄く塗る。抗真菌薬は、感染部分を拡大させないために、外側から中心に向かって塗る

 

「湿布の貼付」実施手順

(1)古い貼付薬を除去する。皮膚に刺激をあたえないように静かに貼付薬をはがし、かゆみや発赤、発疹の有無などの観察をおこなう

 

(2)貼付部位を清拭する。皮膚の汚れや汗をタオルなどで十分に拭き取る

 

(3)貼付剤を手で開封し、日時を油性ペンで記入する

・ハサミなど鋭利なもので開封すると、誤って薬剤を破損してしまう危険がある

・はがし忘れや、貼り忘れを防ぐために貼付日時を記入する

 

(4)新しい貼付薬を貼る

  • 局所作用製剤の場合:患部に貼付薬を貼る
  • 経皮吸収製剤の場合:前回の貼付部位とは異なる場所へ貼る
ポイント

(1)同じ場所に貼付すると、皮膚のトラブルを起こしやすくなる

 

(2)認知機能の低下した患者さんの場合は、手の届きにくいところに貼付する

 

(5)貼付薬を、手で押さえて皮膚に密着させる

(6)粘着力がなくなって、密着しなくなった貼付薬は、すみやかにあたらしい貼付薬に貼り直す

根拠あたらしい貼付薬に貼り直す理由

貼付薬ははがれると速やかに血中濃度が下がるため

 

「軟膏の塗布・湿布の貼付」の実施後手順(共通)

(1)患者さんに終了したことを伝え、患者さんの状態や副作用の有無などを確認する

(2)患者さんの体位を整え、ナースコールを手元に置いて退出する

(3)物品をもとの場所にもどし、ゴミは決められた方法で廃棄する

(4)衛生的手洗いをする

(5)薬剤・量・方法・部位・時間・患者さんの状態と薬の効果・副作用などを記録し、サインする

・軟膏・貼付薬による効果を確認し、副作用の早期発見に努める

・実施者の責任を明確にするため、サインをおこなう

 

【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)

【引用・参考文献】

(1)浦部晶夫 他(編集):皮膚科用剤,今日の治療薬 解説と便覧 2015,1041,南江堂,東京,2015.
(2)栗原博之(監修):経皮与薬,看護技術がみえる vol.1 基礎看護技術,231,メディックメディア,東京,2014.
(3)小林優子 他(著):経皮的与薬,系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護技術Ⅱ 基礎看護学③,284-285,医学書院,東京,2013.
(4)五味田裕(監修):貼付薬を正しくつかう,臨床場面でわかる!くすりの知識,80-85,88-95,南江堂,東京,2013.
(5)日本看護協会:MRI(磁気共鳴画像法)検査室内の磁性体吸着事故や熱傷事故等について;2010/5/10.(2016/01/08アクセス)
(6)深井喜代子(編集),阪本みどり(著):皮膚用製剤の塗布・貼付,新体系 看護学全書 基礎看護学③ 基礎看護技術Ⅱ,262-264,メヂカルフレンド社,東京,2014.

SNSシェア

関連動画

カテゴリから探す

動画でわかる看護技術トップへ