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2016年08月16日

寝たままでは尿が出にくいのはなぜ?

看護技術Q&A

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は排尿に関するQ&Aです。

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

寝たままでは尿が出にくいのはなぜ?

腹圧を高め、排尿を促進することが困難なためです。

 

〈目次〉

 

尿が排泄されるのは

排尿には、膀胱の壁を構成している排尿筋と内外の尿道括約筋が関与しています。これを助ける役目として、腹壁筋の収縮による腹腔内圧の上昇があげられます。

排尿のメカニズムを簡単に説明します。排尿筋は膀胱の頚部・体部による縦走および輪状筋からなる網目状の平滑筋群で、これらの筋肉の収縮によって、膀胱内圧が上がります。同時に膀胱三角部の収縮が起こると膀胱頚部が開口し、後部尿道筋および外尿道括約筋の弛緩(しかん)により尿道が開き排尿が行なわれます(図1)。

図1排尿のメカニズム

排尿のメカニズム

 

これらの筋の収縮、弛緩は下腹神経骨盤神経および陰部神経からなる3つの神経支配を受けています(図2)。

図2膀胱・尿道の神経支配

膀胱・尿道の神経支配

 

交感神経を刺激すると、下腹神経、下腹神経節、膀胱神経叢を経由して、排尿筋の弛緩と膀胱頚部筋(内尿道括約筋)の収縮が起こります。

すなわち、膀胱が拡張しやすくなり、膀胱の出口にあたる膀胱頚部が閉じ、尿を貯留する働きが起こります。逆に副交感神経を刺激すると、骨盤神経、骨盤神経叢を経由して、排尿筋の収縮と膀胱頚部筋の弛緩が起こり、膀胱内圧の上昇と膀胱の出口が開くことになり排尿が始まります。

さらに外尿道括約筋は、陰部神経の支配を受け、蓄尿時には持続的に働いて外尿道括約筋を収縮させ、排尿時には反射的にこの筋の弛緩が起こり排尿が始まります。

 

排尿反射とは

これらの神経の働きを調節するのは、下位中枢である腰仙部脊髄に存在する脊髄排尿中枢、脳幹部、小脳系の自律排尿中枢、および大脳皮質系の最高排尿中枢の3つがあります。それぞれ下位中枢に対して抑制的および促進的に作用しています。これらの神経・筋による排尿のしくみを、排尿反射とよんでいます。

 

立位や座位で排尿しやすいのは

実際の排尿時には、これらの筋の働きに加え、腹壁筋の収縮による腹腔内圧の上昇が起こり、二次的に膀胱内圧を上昇させ、排尿に対して補助的に働きます。この腹壁筋の収縮は随意的に行なわれるもので、排尿補助筋とよばれています。仰臥位、腹臥位など寝たままの状態では、この排尿補助筋の収縮に対して、必要なエネルギー消費量が増加し、また不必要な筋肉の収縮を伴ってしまいます。

排尿時の自然な体位が立位または座位であるのは、腹壁筋の収縮による腹腔内圧の上昇が、最小のエネルギー消費ですむからです。そのため余分な筋肉の収縮や緊張を必要とせず、不快感を残さず楽に排尿することができます。とくに体力・筋力の低下している病人では、寝たままの状態に加え、腹壁筋の収縮がより困難となりますので、残尿感などの不快感が起こりやすい状態になります。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

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