小児における吸入の意義と吸入器具の種類
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は吸入の意義と吸入器具の種類について解説します。
山元恵子
富山福祉短期大学看護学科長
小児における吸入の意義
- 小児は呼吸機能・免疫機能が未熟なため、呼吸器疾患にかかりやすい。
- 小児は気道が狭いため、分泌物が詰まりやすく、排出しにくい。薬剤の吸入により、短時間で気管支を拡張したり、気道の炎症を抑えることが期待できる。
- 吸入は気道粘膜に直接噴霧するため、薬剤を確実に、効率よく到達させることができる。
- 吸入時は、小児の年齢、重症度、コンプライアンスによって、使用する薬剤や吸入器材を選択する。
- 吸入にステロイド薬を使用する場合は、吸入後、必ず、うがいをする。
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吸入の種類
吸入の種類は図1のように分類される。
図1 吸入の種類

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吸入器具の種類
吸入器具には、ネブライザーと定量吸入器がある
ネブライザーや定量吸入器は、水分・薬剤を霧状に噴霧して気道に付着させ、気道壁が分泌物を排除する働きを促す。さらに分泌物の粘稠度を弱め、痰を排出しやすくする。種類により発生する粒子の大きさが異なり、粒子が小さいほど末梢の気道(肺胞)への到達度が高い。
ジェットネブライザー(図2) 粒子:5μm程度
加圧により、空気がジェット気流となり、薬剤が毛細管現象によって吸い上げられる。水分・薬剤は5μm程度の粒子として、気道に吸入される。コンプレッサーに接続チューブをつなぎ、吸入ボトル、マウスピースもしくはマスクを接続して用いる。
図2 ジェットネブライザー

POINT
酸素によるネブライザー(図3)
■吸入ボトルを接続チューブ、流量計を介して中央配管の酸素口に接続し、酸素を5~8L使用することで加圧され、コンプレッサーを使用せずに吸入ができる。
図3 酸素によるネブライザー

超音波ネブライザー(図4) 粒子:1~5μm程度
水や薬液に超音波振動を与えることで、1~5μmの小さな粒子になり、細気管支から肺胞に達する。ただし、2μm未満の粒子は、肺胞に達しても小さすぎて呼出されてしまうことが多い。
粒子が細かいため加湿に適しているが、長時間の吸入により、肺胞への過剰投与やバクテリアの吸入が起こる。
図4 超音波ネブライザー

POINT
■本体・付属器具、水などの清潔管理に留意。定期的な洗浄・交換を行う。
定量ドライパウダー式吸入器(図5) 学童以上に使用
カプセルに入った粉末状の薬剤をセットし、マウスピースをくわえて吸い込む。吸入後は可能な限り息を止め、吸入器から口を離して息を吐く。ステロイド薬の吸入後は、必ずうがいをする。吸気力が必要なため、学童以上に使用。
図5 定量ドライパウダー式吸入器

加圧式定量噴霧式吸入器(図6) マスク式なら乳幼児でも使用可
薬剤をセットし、ノズルを押すと一定量の薬が噴霧でき、タイミングを合わせなくとも、ゆっくり普通の呼吸リズムで吸入できる。マスク式のスペーサーを使用することで、乳幼児でも使用可能。
図6 加圧式定量噴霧式吸入器

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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ


