小児へのジェットネブライザーによる吸入の目的と手順

『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。

今回はジェットネブライザーによる吸入の目的と手順について解説します。

 

 

山元恵子
富山福祉短期大学看護学科長

 

 

ジェットネブライザーによる吸入は、薬液を気管・気管支に噴霧するために行われる。
薬剤を正確に計量し、絵本を読むなどして不安を和らげ、呼吸状態・全身状態を観察しながら実施する。

 

ジェットネブライザーによる吸入の目的

薬液を気管・気管支に噴霧することにより、分泌物の喀出を促進し、気管支拡張、喉頭の消炎、鎮咳などを図る。

 

 

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ジェットネブライザーによる吸入の適応

気管支の分泌物が多く、呼吸が妨げられている幼児

 

 

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ジェットネブライザーによる吸入の手順

1 必要物品の準備と確認

手洗いを行い、必要物品を準備する(図1)。ジェットネブライザーが正常に作動することを確認しておく。

 

図1 必要物品

必要物品

 

①コンプレッサー・接続チューブ・吸入ボトル
②マウスピース/マスク
③指示箋
④薬剤
⑤注入器
ガーグルベースン
⑦ガーゼ/タオル
⑧手袋
聴診器

 

POINT

マウスピース、マスクの選択

■マウスピース、マスクの型やサイズは、患児の発達に合ったものを選択する。
■プラスチック製が、安全上望ましい。
図2のように、キャラクターのついた製品も発売されている。

 

図2 キャラクターのついた製品

キャラクターのついた製品

 

2 薬液の吸い上げ

❶❷指示された薬剤を注入器で吸い上げ、指示箋と指差しで照合する(図3図4)。
吸入薬には気管支拡張薬が使用されることが多いため、確実な用量を計量する。

 

図3 正確な量を吸い上げる

正確な量を吸い上げる

 

図4 指示箋と指差しで照合する

指示箋と指差しで照合する

 

POINT

■指示量の単位を間違えないよう、確認する。
■注射用注射器の使用は禁物! 誤って輸液ラインに接続する危険がある。

 

3 吸入の実施

❶ネブライザーの電源を入れ、ベッドサイドに準備。患児と家族に説明を行い、呼吸音を聴診する(図5)。

 

図5 呼吸音を聴診する

呼吸音を聴診する

 

❷吸入ボトルと接続チューブ、マスク(マウスピース)をつなぐ。患児を腰かけさせ、ゆっくりと腹式呼吸で吸入することを説明。スイッチを入れ、吸入を開始する(図6)。

 

図6 吸入を開始する

吸入を開始する

 

POINT

■器械の音を患児がこわがることがないよう、「どんな音かなー?ジェット機の音かなー?」と興味を持たせる。
■ネブライザーの噴霧状況を確認する。
■絵本を読むなどして、患児の緊張を和らげ、リラックスできるよう環境を整える。
■自分で分泌物を排出できない場合は、吸引を実施する。

 

❸介助者は、患児の腹部に手を当て(図7)、吸気時にお腹を膨らませるよう指導する。ゆっくりと腹式呼吸で吸入させる。口腔内に貯留した唾液・痰・薬液は、飲み込まないようガーグルベースンに吐き出させる。
吸入時間は10分程度を目安とする。

 

図7 介助者は患児の腹部に手を当てる

介助者は患児の腹部に手を当てる

 

POINT

吸入時の注意点

■脈拍・呼吸状態・顔色・咳の有無、悪心・嘔吐、喘鳴などを観察する。
■抱く場合は、患児の腹部を圧迫しないよう注意。
■上手にできていることをほめる。
■吸入時間の目安を伝えて、励ます。
■薬液の噴霧がなくなっても、液が残っていることがあるため、吸入ボトルを振って残薬を噴霧させる。

 

POINT

吸入終了後の留意点

■実施後は呼吸音を聴取し、吸入前の状態と比較する(図8)。
■聴診をして、痰の貯留の有無や部位を確認。必要により、タッピングなどで排痰を促す。
■うがいをして、不快感を和らげる。
■患児を安楽な体位で休ませる。

 

図8 呼吸音を聴取し吸入前と比較する

呼吸音を聴取し吸入前と比較する

 

CHECK!

粒子の大きさと到達部位

ネブライザーの種類により、水分・薬剤の粒子の大きさが異なり、気道内の主な到達部位が異なる(図9)。
咽頭→気管→気管支→細気管支→肺胞と、粒子の大きさが小さくなるほど、気道の深部に到達する。

 

図9 薬剤の粒子の大きさと到達部位

薬剤の粒子の大きさと到達部位

*国元文生:吸入療法の種類,呼吸管理 専門医にきく最新の臨床.中外医学社,2003,p.118より数値を引用

 

 

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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ

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