小児の骨髄穿刺の手順
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児の骨髄穿刺の手順について解説します。
風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室
骨髄穿刺の手順
1 必要物品の準備と検査
図1 骨髄穿刺の必要物品
①骨髄針(大・中・小)
②注射器(5mL・2本)
③注射針(23G)
④滅菌穴あき布
⑤滅菌手袋
⑥滅菌綿球
⑦滅菌鑷子
⑧消毒薬(ポビドンヨード/ハイポアルコール)
⑨局所麻酔用具一式
⑩酸素吸入・吸引用具一式
⑪呼吸・心拍モニター、パルスオキシメーター
⑫スライドグラス(10枚以上)、引きガラス
⑬ドライヤー
2 穿刺部と抑制
上後腸骨棘の場合
腸骨は重要な臓器や血管を傷つける可能性が少ない部位であり、乳幼児から学童まで広く選択される。
穿刺時は、介助者2人で両肩と両大腿部を抑制し(図2)、穿刺部(図3)が動かないよう固定する。
図2 上後腸骨棘の穿刺部と抑制
図3 上後腸骨棘の穿刺部
POINT
■穿刺時に患児が動くと危険。しっかりと抑制する。
■塗抹標本は、ドライヤーの冷気で乾燥させる。
脛骨の場合
脛骨上部(1/3、図5)は、骨が皮膚表面に近いため、穿刺が容易である。主に、新生児〜2歳児に適用される。
介助者は、患児の膝関節と足関節を固定する(図4)。必要時、患児の上半身も軽く固定する。
図4 脛骨の抑制
図5 脛骨の穿刺部位
小児の骨髄輸液
血管確保の手段として、骨髄輸液が用いられる
骨髄輸液は、脛骨などの骨髄を穿刺して、骨髄に直接、輸液を行う方法である(表1、図6)。
通常の静脈確保ができない、ショック・心肺不全などの小児において、迅速かつ一時的な血管確保の方法として用いられる。
表1 骨髄輸液の穿刺部位
図6 骨髄輸液
心肺停止状態の小児では、最初に選択される血管確保の手段となる。小児の救急カートには、骨髄輸液の必要物品(図7)を備えておくことが望ましい。
図7 骨髄輸液の必要物品
必要物品
①骨髄輸注針
②注射器
③輸液セット
④滅菌布
⑤滅菌手袋
⑥滅菌鑷子
⑦滅菌綿球
⑧消毒薬(ポビドンヨード/ハイポアルコール)
⑨滅菌ガーゼ
⑩絆創膏
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ