抗けいれん薬でも止まらない重積けいれん。呼吸確保、体位保持のほかに、何をする?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回は重積けいれんを起こしている患者の対応について解説します。

 

又吉 努
琉球大学医学部附属病院 ICU 副看護師長/救急看護認定看護師

 

抗けいれん薬でも止まらない重積けいれん。呼吸確保、体位保持のほかに、何をする?

 

転落や外傷などの二次障害や、点滴の事故抜去の予防策をとりましょう。

 

 

一般にけいれんとは、全身の筋または筋群に、発作的・一過性で、反復的・持続的に生じる急激な不随意的収縮のことをいいます。

 

けいれんのなかでも、30分以上持続するもの、また、意識の回復がなく、けいれんを繰り返すものを重積けいれんといいます。

 

けいれんは、の神経細胞から骨格に至る運動神経経路の異常興奮によって起こります。けいれんによって大脳に生じた異常な興奮が継続すると、脳の酸素消費量が増加して脳の障害を引き起こすため、重積けいれんは、特に注意が必要です。

 

けいれん発作時の対応

1 抗けいれん薬投与

けいれんをすみやかに止めるためには、抗けいれん薬投与が第一選択です。抗けいれん薬として使われるのは、中枢神経に作用するベンゾジアゼピン系鎮静薬などです。

 

これらの薬剤は、呼吸抑制をきたし、血圧が低下することがあるため、モニタ監視を含めた患者の観察を密に行って、異常が起きたらすぐ対応できるようにする必要があります。

 

2 安全確保

けいれんにより、ベッドからの転落、ベッド柵などに手足をぶつけてケガをすることも考えられます。それを防ぐために、必ずベッド柵を確実に立てておくことや、やわらかい毛布などでベッド柵を覆うなどして、患者の安全を確保することが重要です。

 

また、末梢静脈ラインなどが抜けてしまわないよう、固定部位のテープ貼付や点滴ラインのループ方法などの防止策も考える必要があります。

 

3 家族への精神的ケア

重積けいれんは、意識障害を伴うことが多く、患者自身はもちろん、患者の家族にとっても死に対する不安が生じます。

 

処置経過と患者の状態を伝えるなど、家族への精神的ケアも忘れてはいけません。

 

 

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引用・参考文献

1)高木永子 監修:看護過程に沿った対症看護 第4版.学研メディカル秀潤社,東京,2010:418‐434.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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