ギラン・バレー症候群

『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』より転載。
今回はギラン・バレー症候群の検査・治療・看護について解説します。

 

石田敦子
東海大学医学部付属八王子病院看護部副主任

 

 

ギラン・バレー症候群とは?

ギラン・バレー症候群は、自己免疫性ニューロパチーの代表的疾患です(図1)。

 

図1ギラン・バレー症候群の分類

図1ギラン・バレー症候群の分類

 

上気道感染や下痢などの感染症状の1~3週間後に、急性の運動麻痺を優位とする多発ニューロパチーをきたします。

 

先行感染でみられる病原体は、カンピロバクタージェジュニが最も多く、ほかにサイトメガロウイルス(CMV;Cytomegalovirus)、EB(Epstein-Barr)ウイルス、マイコプラズマなどが知られています。

 

通常は1か月以内に症状のピークを迎え、6か月~1年以内に自然回復しますが、一部は重篤化することがあります。

 

小児から男女を問わずに起こります。

 

 

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患者さんはどんな状態?

下肢の軽度のしびれで発症し、左右対称性に上行して、弛緩性麻痺(脱力)がみられます。四肢末端優位の感覚障害がみられますが、運動麻痺よりも軽度であることが多いです。

 

躯幹筋が侵され、呼吸困難となることもあります。

 

腱反射の低下がみられます。

 

顔面神経麻痺(第Ⅶ脳神経障害)、構音、嚥下障害(第IX、X、XII脳神経障害)、外眼筋麻痺(第III、IV、VI脳神経障害)などがみられます。

 

ギラン・バレー症候群は、髄鞘が障害される脱髄型と、軸索が障害される軸索障害型に分類されます(図2)。

 

図2ギラン・バレー症候群の分類

図2ギラン・バレー症候群の分類

★1 AIDP(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy)
★2 AMAN(acute motor axonal neuropathy)
★3 AMSAN(acute motor sensory axonal neuropathy)

 

memo:フィッシャー症候群

ギラン・バレー症候群の亜型。外眼筋麻痺、運動失調、深部反射の低下ないし消失を3徴とする。

 

 

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どんな検査をして診断する?

カンピロバクタージェジュニ感染後の急性運動性軸索型ニューロパチーでは、血液検査にて抗ガングリオシド抗体(特に抗GM1抗体)陽性を認めます。

 

脳脊髄液検査にて、細胞数の増加を伴わないタンパクの上昇(タンパク細胞解離)を認めます。発症初期には上昇しないこともあるので、注意が必要です。

 

神経伝導検査にて、運動神経伝導速度の低下や、伝導ブロックがみられます。

 

フキダシ:ギラン・バレー症候群と症状が似ている疾患として、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)があげられます。初回発症時には、ギラン・バレー症候群との鑑別が困難といわれますが、ギラン・バレー症候群では先行感染を伴い、抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体)が陽性であることが特徴です

★1 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)

 

表1ギラン・バレー症候群と慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーの比較

表1ギラン・バレー症候群と慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーの比較

 

 

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どんな治療を行う?

免疫グロブリン(IVIg;intravenous immunoglobulin)療法、血液浄化療法(単純血漿交換[PE]、免疫吸着療法)のほか、重症例で呼吸筋麻痺が発症している場合は、人工呼吸器装着を含めた全身管理が必要となります(表2)。

 

表2ギラン・バレー症候群の治療

表2ギラン・バレー症候群の治療

 

memo:PE(plasma exchange)

血中の有害物質を血漿とともに除去し、代わりに新鮮凍結血漿を補充する方法。

 

 

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看護師は何に注意する?

症状の観察

機能障害が進行するため、経時的な観察を行います。

 

血液ガス分析や、酸素飽和度のモニタリングを行い、呼吸不全の早期発見に努めます。

 

免疫グロブリン療法中は、バイタイルサインの変動や、アレルギーなど、副作用が出現していないか観察します。

 

自律神経障害を合併した場合には、不整脈急激な血圧変動を認め、突然の心停止をきたすことがあります(特に急性炎症性脱髄型多発ニューロパチー、急性運動感覚性軸索型ニューロパチー)。心電図・SpO2モニターを装着し、観察します。

 

嚥下障害の症状を観察します。嚥下状態に応じた訓練を行い、食事形態を選択します。

 

精神的なケア

急な発症と機能障害により、患者さんや家族は精神的なショックを受けるため、訴えの傾聴に努めます。

 

うつ症状が認められた場合は、向精神薬の内服や精神科の介入も検討します。

 

活動の支援

廃用症候群や関節拘縮の予防のため、筋力増強訓練など、リハビリテーションを行います。

 

自律神経障害に伴う起立性低血圧の予防のため、急激な起き上がりを避けます。

 

深部静脈血栓症の予防のため、弾性ストッキングを着用します。

 

感覚障害や麻痺が重度の場合は、体位変換を行い、褥瘡予防に努めます。

 

退院支援

後遺症などにより社会生活への支障が予測される場合は、MSWに情報提供し、介入を依頼します。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社

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