アルコール性ニューロパチー

『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』より転載。
今回はアルコール性ニューロパチーの検査・治療・看護について解説します。

 

石田敦子
東海大学医学部付属八王子病院看護部副主任

 

 

アルコール性ニューロパチーとは?

アルコール依存症の患者さんに高頻度にみられる、緩徐進行性のニューロパチーです。

 

下肢末端のジセステジア(不快な他覚的異常感覚)、パレステジア(自覚的異常感覚、錯感覚)を伴う全感覚性の感覚障害より始まり、下肢末端が優位の運動障害も生じます。

 

アルコール自体によって、また、アルコール代謝によってビタミンB群が欠乏することが原因となり、神経が障害されることで発症します(図1)。

 

図1アルコールによって生じうるさまざまな障害

図1アルコールによって生じうるさまざまな障害


末梢神経では、主に軸索が障害されます。

 

軽症から中等症では、飲酒をやめることにより改善が期待できます。

 

フキダシ:アルコール依存症の患者さんは、絞扼性ニューロパチーが生じやすいともいわれているため、注意が必要です

 

 

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患者さんはどんな状態?

両下肢末端にしびれや違和感、疼痛が生じます。

 

進行すると歩行困難や手のしびれ、手足の感覚障害が生じます。重症例では車椅子が必要になることもあります。

 

ビタミンB群の欠乏により、末梢神経障害だけでなく中枢神経障害を呈しているものを、ウェルニッケ(whernicke)脳症といいます。意識障害、眼球運動障害、運動失調を認めます。

 

 

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どんな検査をして診断する?

問診により、飲酒歴を確認します。

 

神経学的所見:運動系では、徒手筋力検査(MMT)、腱反射をみます。感覚系では、触覚・痛覚・温度覚振動覚をみます。

 

血液検査:ビタミンB1の不足の有無、アルコールの多飲に伴う肝疾患や膵臓疾患の有無なども調べます。

 

神経伝導検査:下肢優位で活動電位の振幅減退を認めます。

 

頭部CT、MRI:前頭葉を中心とした脳萎縮が観察されます。また、慢性肝機能障害では、MRIのT1強調画像で両側基底核が高信号となります。ウェルニッケ脳症の急性期では、中脳水道周囲灰白質や側脳室周囲が、拡散強調画像で高信号となります。

 

大量飲酒に伴う他の身体疾患がないか、別の検査を行うことがあります。

 

 

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どんな治療を行う?

禁酒、食事指導を行います。

 

必要に応じてビタミンB1の補充を行います。

 

状況に応じて、抗けいれん薬や、抗うつ薬が使用されます。

 

 

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看護師は何に注意する?

患者さん・家族に対して禁酒の指導を行います。

 

断酒会などの自助グループの情報を提供し、参加を促します。

 

バランスのとれた食事をとるよう指導を行います。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社

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