脳の全体像

『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』より転載。
今回は脳の解剖生理の基本について解説します。

 

剱持雄二
東海大学医学部付属八王子病院看護部主任 集中ケア認定看護師

 

 

脳の基本的なつくり

ヒトの脳は約1,200~1,500g(大脳 約800g、小脳 約130g、脳幹〈のうかん〉 約220g)で、体重の約2%(体重60kgの場合、脳は約1.2kg)とされています1)

 

脳は、全循環血液量の約15%(約750mL/分)もの血液を必要としています。

 

脳が正常に機能するにはエネルギーとなる糖が必須であり、身体の全カロリーの約20~25%の糖分(約500kcal分のブドウ糖)を必要としています。

 

大脳には多数の脳溝(のうこう:しわや溝)があり、広げると脳の表面積は新聞紙1枚分あります。

 

memo:脳溝と脳回

脳溝間は、脳回と呼ばれる隆起を形成する。
大きな脳溝(葉間溝)は大脳を前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4 つに区分する。

フキダシ:脳の大きさ・重さは個人差があります

 

 

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脳の外観

大脳は上から見ると、大脳縦裂を境界に、左脳左半球)と右脳右半球)に分かれます(図1)。左右の脳は脳梁(のうりょう)によって連絡されています。脳の外観を左側から見たところを図2に示します。

 

図1上から見た大脳

図1上から見た大脳

図2左側から見た脳

図2左側から見た脳

 

左脳と右脳では機能が大きく違います。左脳は、言語、計算、理論など論理的、概念的な思考を行い、右脳は音楽、幾何学、発想など芸術的な分野に関連しています。

 

memo:優位半球

一般的に言語中枢があるほうを優位半球、ないほうを劣位半球という。通常、右利きの人は99%左側が優位半球であるが、右利きの人でも、右側が優位半球であることもある。

 

 

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脳の内側

脳梁の下には、視床視床下部などで構成される間脳があります。さらにその尾側には中脳、橋、延髄、脊髄があります(図3)。

 

中脳、橋、延髄を合わせて脳幹と呼びます。

 

  • 大脳:思考や記憶、理性などを司っています。
  • 小脳:平衡機能や、姿勢を保つ機能を統合しています。
  • 間脳:自律神経や内分泌機能をコントロールし、情動の機能と関係しています。
  • 脳幹中脳は動眼神経の核があり、眼球を動かします。は味覚、聴覚や顔面の筋肉を司っています。延髄は呼吸や循環、消化など生命維持を司っています。

 

図3左側から見た脳(矢状断)

図3左側から見た脳(矢状断)

memo:大脳皮質と髄質

脳の断面をみると、皮質は灰色に見えるため、灰白質ともいう。
その下の髄質は白く見えるため、白質ともいう(図4)。

memo:小脳テント

大脳と小脳は小脳テントと呼ばれる膜によって分けられており、大脳側をテント上、小脳側をテント下と呼ぶ。

 

 

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脳の断面

大脳基底核とは、大脳皮質と視床・脳幹を結びつけている神経核の集まりで、小脳とともに身体の運動をスムーズにする役割があります。運動調節、認知機能、感情を調節しています。

 

この大脳基底核は神経の集まりで、線条体淡蒼球(たんそうきゅう)、視床下核黒質(こくしつ)などが含まれます(図4図5図6)。線条体、淡蒼球、視床下核は身体の随意運動の調節や姿勢、筋肉の緊張を調整するなどの機能を司り、眼球運動の制御、辺縁系への制御も行っています。

 

 

図4水平断

図4水平断

 

図5冠状断

図5冠状断

 

図6CT画像で見る脳の基本構造

図6CT画像で見る脳の基本構造

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社

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