心臓弁膜症の退院支援

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。
今回は心臓弁膜症の退院支援について解説します。

 

小久保美千代
新東京病院看護部

 

退院支援のポイント(表1

心臓弁膜症の治療法は、薬物療法、カテーテル治療、外科的治療と3つに分かれます。どの治療を行うかによって退院支援は異なってきます。

 

薬物療法による保存的治療の場合は、病気を抱えての生活のため、服薬や塩分・水分の管理心臓に負担がかからないような日常生活を送ることが重要です。疲労や息切れ動悸などの症状は一見、加齢によるものと思い込んでしまいがちです。セルフチェックやそのような症状をキャッチする家族のサポートも重要です。

 

外科的治療の場合は、手術後の身体機能の回復に時間がかかる場合もあり、患者さんや家族にとっては、心臓手術後の自宅での生活は不安が大きいものです。また、手術による胸骨の接合には3か月かかるといわれており、自宅で療養生活を送りながら回復していくことになります。

 

最近では、開心術と比較して低侵襲で行えるカテーテル治療もありますが、どちらにしても、退院後の生活を見据えた支援が必要です。そのためには、入院前の暮らしぶりを知っておくことが大事です。要介護認定を受けている患者さんは、担当の介護支援専門員と連携をとり、退院後の生活を支援するため介護サービスの再編など検討するとよいでしょう。

 

表1心臓弁膜症の退院支援のポイント

心臓弁膜症の退院支援のポイント

 


文献

  • 1)大谷修,堀尾嘉幸:カラー図解 人体の性状構造と機能Ⅱ 循環器.日本医事新報社,東京,2000:11.
  • 2)Bonow RO,Carabello BA,Chatterjee K,et al. ACC/AHA2006guidelines for the management of patients with valvular heart disease:a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (writing Committee to Revise the 1998guidelines for the management of patients with valvular heart disease)developed in collaboration with the Society of Cardiovascular Anesthesiologists endorsed by the Society for Cardiovascular Angiography and Interventions and the Society of Thoracic Surgeons. J Am Coll Cardiol 2006;48:e1-148.
  • 3)日本循環器学会:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)
  • 4)岩瀬三紀監修:保存版 循環器の疾患・治療・ケア ビジュアル図説107.ハートナーシング2019年春季増刊,メディカ出版,大阪,2019.
  • 5)平岡栄治,則末泰博,藤谷茂樹編:重症患者管理マニュアル.メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2018.
  • 6)道又元裕総監修,露木菜緒監修・解説:ICU3年目ナースのノート 改訂増強版.日総研出版,愛知,2017.
  • 7)古川哲史監修:ぜんぶわかる心臓・血管の事典.成美堂出版,東京,2018.
  • 8)道又元裕監修:心臓血管外科の術後管理と補助循環 第2刷.日総研出版,愛知,2013.
  • 9)山中源治,小泉雅子編:徹底ガイド 心臓血管外科 術後管理・ケア(ハンディ版).総合医学社,東京,2016.

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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