患者さんのトイレ介助が重なってしまった!|ケアの優先度がわかる!新人ナースの動き方【1】

突然複数のケアが重なったり、複数の患者さんから呼ばれたりすることを「多重課題」といいます。こうした多重課題にいかに優先度を考えて迅速に対処していくかは、新人ナースの最初の壁ですよね。この連載では、新人ナースが悩みがちな、多重課題への対応方法を紹介していきます。

 

今回は患者さんのトイレ介助が重なった場面について、取り上げます。

 

執筆:永澤 成人

東京慈恵会医科大学医学部看護学科老年看護学助教

監修:上村 美穂

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

教育担当副部長、集中ケア認定看護師

 

 

ケアの優先度がわかる!新人ナースの動き方

Vol.1  Aさんをトイレに移送しようとしたら、同室にいる高齢のBさんからトイレ介助に呼ばれた!こんなときどうする?

 

こんな状況に遭遇したとき、あなただったらどう対応しますか?

多重課題の場面。膝の手術後のAさんをトイレ介助に連れて行こうとしたら認知症のBさんにもトイレ介助に呼ばれました。

 

 

あなたなら【1】【2】どっちを選びますか?

 

 

※スクロール注意!解説あり※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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正しい優先順位

【2】Bさんのトイレ介助を優先し、その後にAさんのトイレ移送へ行く

 

 

 

悩みがちなポイント

トイレ介助が重なる場面、よくありますよね。先に介助依頼のあったAさんを待たせたら悪いと思ってしまう気持ちもよくわかります。

 

しかし、今回優先すべきは患者さんの安全です。個々の患者さんの状態をアセスメントして、より安全に対応できる方法を考えましょう。

 

 

 

動き方の根拠

普段、私たちは多少なりとも余裕を持ってお手洗いに行きますよね。

高齢者の方々も余裕を持ってトイレに行くと考えてしまいますが、実際は加齢によって尿意を我慢しにくくなっていたり、思ったよりも我慢できず失禁してしまうことがあります。

 

だから今回のBさんのように焦ってトイレ介助をお願いする患者さんがいるんですね。

 

また、Bさんのような認知症の患者さんは、「待ってください」と声をかけたとしても、動き出す危険性が高いと判断しましょう。

実際にBさんに4点柵の対応がとられているということは、動き出す危険性が高いとアセスメントしての対策だと考えられます。

 

Aさんに関しては、昼食前に余裕を持ってトイレに行こうとしていて、なおかつ、会話から理解力があるように見えます。

そのため、「Aさんはお願いをすれば待ってもらえる」と判断しても良いと思います(もちろん決めつけずに本人に了解を得てから行うことが大切です)。

 

こうした状況から、今回はBさんのトイレ介助を優先するほうが「安全」と考えて、行動するとよいでしょう。

 

いずれにせよ、点滴などと違い、排泄は昼夜関係なく起こる生理現象のため、看護師の想定通りにはいかないことが多いものと認識しておきましょう。

 

★優先度を考えるポイント★

必ずしもトイレ介助をお願いされた順番ではなく、個々の患者さんの状態を見て、より安全に対応できる優先度を考えましょう。

 

 

 

補足解説

Bさんは認知症のため、動き出す危険性が高く、目が離せません。

しかし、もしAさんの緊急性も高いと判断したら、コールで別のスタッフにAさんのトイレ移送を依頼するのもひとつの手です。

 

また、Bさんのような患者さんの場合、排泄パターンを読むことで事前にトイレ誘導をするなどの対策を取ることができます(例:食事の前後でさりげなくトイレに誘ってみるなど)。

 


イラスト作成/パント大吉(イラストレーター)

編集/松下淳史(看護roo!編集部)

 

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