良肢位の保持に枕やクッションを用いるのはなぜ?|体位の保持

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は安楽な体位の保持に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

良肢位の保持に枕やクッションを用いるのはなぜ?

安楽な体位を保持するために枕やクッションを用いるのは、脊椎の生理的弯曲を保持したり、筋や関節にかかる負担を軽くしたり、局所的にかかる圧迫などを軽減して支持基底面を広くし、物理的に安定した姿勢を取るためです。

 

体位により、枕やクッションを当てる部分は異なります。また、当てる部位に応じて、材質、形、大きさなどを選び、数個を使い分けるようにします。

 

基本的には、ベッドと体の間に隙間を作らないようにすることが大切です。ただし、枕を当てすぎると患者に圧迫感を感じさせることになりますので、枕の出し入れを適宜行うようにしましょう。

 

1仰臥位の保持

仰臥位は支持基底面が広く、筋の緊張も少ない安定した体位です。しかし、長期間の臥床によって褥瘡や腰背部痛、尖足(せんそく)などをひき起こしやすいという特徴があります。

 

仰臥位を保持する際には、頭部・脊椎・骨盤が一直線に保たれているか、枕の高さは適切か、仙骨部の圧迫は分散されているか、尖足が予防されているか、膝関節15度外転位になっているか―などを考えながら枕やクッションを当てます。

 

2側臥位の保持

側臥位は支持基底面が狭く、腸骨部や大転子部(だいてんしぶ)が強く圧迫されるため、褥瘡が発生しやすい姿勢です。

 

股関節・膝関節を適度に屈曲させているか、下側の腓骨(ひこつ)小骨頭部の除圧がされているか、背部は楽に寄りかかれるようになっているか―などを考えてクッションを当てます。

 

3座位・ファーラー位

座位やファーラー位は、腰部や殿部に重力が集中して重心がずれやすい体位です。また、臥位に比べて骨格筋の緊張が高まり、循環動態も変化しますので、ファーラー位、座位、端座位・起座位というように、徐々に負荷を加えていくようにします。

 

坐骨結節(ざこつけっせつ)部に局所的に圧迫が集中するので、クッションを用いて除圧を行うことも必要です。また、片麻痺があって姿勢が安定しない患者は、患側に傾きがちになるので、患側の肩から側腹部にかけて、バスタオルを巻いてロール状にしたものや、長枕を入れて固定します。

 

麻痺したほうの手が肘関節より下側に位置していると、手指を中心に末梢側の浮腫が生じやすくなるので、クッションで予防することも必要です。

 

図1安楽な体位の保持

 

memo安楽な姿勢

膝関節、肘関節を曲げた姿勢は、患者にとって楽な体位です。腰椎、腹筋、下肢、上肢、肩などの緊張が和らげられるからです。また、膝や肘の関節を曲げることで支持基底面が広くなり、体を安定して支えられることも、安楽感を抱かせる一因といえます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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