静脈注射で痛いと言われたら、どうする?

第1話と第2話では、「静脈注射が原因で神経損傷が起こった事例」を元に解説してきました。 ここでは、看護師の皆さんが疑問に思うことをQ & A形式で解説します。

 

静脈穿刺時に必要な注意義務として、「血管の選択」、「神経損傷の回避」、「患者さんへの説明」を学んだと思います。これらを踏まえ、患者さんに痛いと言われた時はどのように対応するべきだと思いますか?

 

患者さんへ、電撃痛やしびれを伴う痛みがないかを確認します。

 

電撃痛がある場合はもちろん、患者さんが異様に痛がる場合は速やかに針を抜いた方がいいでしょう。訴訟の予防という観点を踏まえ、静脈穿刺に失敗したときの対応を説明します。

 

 

大磯義一郎、谷口かおり

(浜松医科大学医学部「医療法学」教室)

 

 

静脈穿刺の時に、患者さんに痛いと言われたらすぐに針を抜くべき?

 

 

患者さんの痛みの感じ方は人それぞれです。針を刺したとき、薬液を注入するとき、神経に針が接触しているときなどで痛みの性質は変わります、心因的な痛みも存在します。患者さんの痛みを見極めるために、患者さんに確認しましょう。
例えば、針を刺した瞬間であれば、血管に刺入が確認できたら「まだ痛みますか、しびれるような痛みですか、我慢できない痛みですか」など、詳しく聞きます。薬液を注入するときは、血管痛もあるので、注入を一時やめ、確認したり、再度、逆血を確認したり、刺入部付近の皮膚の状態も確認します。
それでも、特に異常がないと感じても、患者さんの訴えが強い場合は抜く方がよいでしょう。

 

患者さんは人それぞれ。事前に確認をしましょう

患者さんには、治療や検査などで何度も静脈穿刺の経験がある人、あまりない人、高齢で痛みを感じにくい人、血管が脆弱など、何らかの疾患で感覚障害がある人など、さまざまな人がいます。患者さんの情報を収集し、アセスメントをして血管を選択しましょう。

 

血管選択のポイント

  • 疾患等に応じて患肢側(麻痺など)を避ける
  • 利き手側への穿刺は避ける
  • 蛇行している血管や関節付近は避ける
  • できる限り太く、弾力のある血管を選択する

 

うまく血管に入らなかったら、抜針しましょう

患者さんの血管を確認し、静脈穿刺をしますが、血管の弾力性や深度などによって、注射針がうまく入らない場合があります。患者さんに何度も針を刺す痛みを感じさせるのは申し訳ないという気持ちもわかりますが、無理に針先を進めたり、血管を探ったりという行為は神経損傷の危険性が高まりますので、うまく血管に入らなかったなと思ったら抜針した方がよいでしょう。

 

客観的事実を記録に残しておきましょう

静脈穿刺後も、痛みを感じたり、しびれなどの症状が残ったりしている場合は、医師に診察をしてもらいましょう。また、そのときの状況を記録に残しましょう。

 

例えば、「◯時◯分 メイロン®、メチコバール®静注。穿刺時、疼痛の訴えあるが、薬液漏出なし。穿刺後、手指のしびれなし、動きスムーズ」など、記録化することで、患者さんの訴える痛みと、神経症状の有無を事実として残すことができます。また、翌日も、痛みやしびれ、感覚麻痺等の異常があれば、すぐに受診をするよう説明しておくことも必要です。

 

⇒『ナース×医療訴訟』の【総目次】を見る

 


[執筆者]
大磯義一郎
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 教授
谷口かおり
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 研究員

 


Illustration:宗本真里奈

 


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