在宅人工呼吸療法では、どれくらい費用がかかるの?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「在宅人工呼吸療法における費用」に関するQ&Aです。

 

原口道子
東京都医学総合研究所難病ケア看護プロジェクト主任研究員

 

在宅人工呼吸療法では、どれくらい費用がかかるの?

 

人工呼吸器および周辺機器・衛生材料や支援サービスの利用料がかかります。医療費の自己負担を軽減する制度を活用し、経済的負担を減らすよう考慮します。

 

〈目次〉

 

HMV(在宅人工呼吸療法)の費用

HMVの必要物品(人工呼吸器の機器本体のほか、装置に必要な回路部品その他の付属品)は「在宅人工呼吸指導管理料」に含まれる。

 

療養上必要な回路部品その他付属品(バッテリー及び手動式肺人工蘇生器等を含む)は「人工呼吸器加算」に含まれる。

 

上記以外に必要な機器(電気式痰吸引器、ネブライザー動脈血酸素飽和度測定器等)は、障害者総合支援法の在宅療養等支援用具として、一部公費負担で購入できる。

 

吸引に必要な物品や衛生材料(吸引チューブ・消毒液・精製水・万能つぼ・ガーゼ・清浄綿等)は、医療機関からの払出と自費購入分を相談して整えておく必要がある。

 

自己負担額を軽減する制度

安全なHMV継続のための医療・介護・障害福祉サービスの利用には、各制度に定められた自己負担額が生じる。ただし、医療にかかる自己負担額を軽減するための公費負担制度があり、対象者に該当する場合は活用できる(表1)。

 

表1医療費の公費負担に関連する制度 (抜粋)

 

表1のうち、国の指定難病として「医療受給者証」を取得している者のうち、人工呼吸器を装着している者は、世帯の所得にかかわらず月額自己負担上限は1000円である(平成27年1月~)。

 

医療保険の自己負担額の総額が一定額を超えた場合には「高額療養費制度」、医療保険と介護保険の自己負担が一定額を超えた場合には「高額医療・高額介護合算療養費制度」によって自己負担額を軽減できる(詳細は高額療養費制度、高額医療・高額介護合算療養費制度を確認されたい)。

 

HMVを要する療養者を支えていくうえでの経済的支援については、障害年金や各種手当(特別障害者手当・特別児童扶養手当等)、税の減免(所得税、住民税の控除)、利用料(公共交通機関運賃割引、放送受信料の減免、公営住宅優先入居等)などを利用して家族の経済的負担の軽減を考慮する必要がある。

 


[文献]

  • (1)石原英樹:在宅人工呼吸療法(HMV).呼吸ケア2009;7(7):97-98.
  • (2)石原英樹,坂谷光則,井上義一,他:在宅呼吸ケアの現状と課題−平成19年度全国アンケート調査結果−.労働科学研究費補助金難治性疾患克服事業呼吸不全に関する調査研究班平成19年度研究報告書2007:60-63.
  • (3)宍戸克子:在宅人工呼吸療法.呼吸ケア 2009;夏季増刊:247-256.
  • (4)木村謙太郎:在宅酸素療法.在宅人工呼吸療法導入背景と現状、実際.在宅呼吸療法事業ハンドブック2003,アズクルー,大阪,2002.
  • (5)中山優季:在宅人工呼吸ケア.道又元裕編,人工呼吸ケア「なぜ・何」大百科,照林社,東京,2005:457.
  • (6)中山優季:在宅人工呼吸療法の実際.道又元裕,小谷透,神津玲編,人工呼吸管理実践ガイド,照林社,東京,2009:292-302.
  • (7)原口道子:在宅での看護職員と介護職員等との連携のポイント.コミュニティケア2012;14(12):53-57.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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