RSTってなに?|人工呼吸ケアのすべてがわかる

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回はRST(呼吸ケアサポートチーム)についてのお話です。

 

清水孝宏
那覇市立病院看護部看護師長

 

〈目次〉

 

RSTとは

RST(respiratry support team:呼吸ケアサポートチーム)の正式な名称は、RCT(respiratry care team)といい、一般的に「呼吸ケアチーム」と呼ばれる。呼吸ケアチームは、主に人工呼吸器を装着した患者を対象に、医師、看護師、理学療法士や臨床工学技士などの多職種が集まって活動するチームである。

 

具体的な活動内容は、呼吸ケアチーム回診で、人工呼吸器を装着した患者が適切な人工呼吸器設定となっているかの確認や、安全管理が守られているかどうか、人工呼吸器関連の合併症予防が適切に行われているかの確認などを行い、その確認したことを臨床の現場に提案や提言として還元し、より適正な人工呼吸管理をサポートすることである。

 

呼吸ケアチームと診療報酬

呼吸ケアチームの活動は、2010年から「呼吸ケアチーム加算」として診療報酬が算定できるようになった。この加算の算定条件は、人工呼吸器管理等について十分な経験のある専任の医師、人工呼吸器管理や呼吸ケアの経験を有する専任の看護師、人工呼吸器等の保守点検の経験を3年以上有する専任の臨床工学技士、呼吸器リハビリテーション等の経験を5年以上有する専任の理学療法士がチームに参加していることであり、特に、看護師については、特定の認定看護師または専門看護師がメンバーに必要となる。

 

呼吸ケアチーム加算算定要件のメンバーがすべてそろわなければチームを運営できないわけではない。理想としては、人工呼吸に携わる多職種の参加が望まれるものの、すべての職種がそろわなくても、人工呼吸管理中の患者への適切な呼吸管理の提供を目的に限られた資源(人員)で活動することは可能である。また、呼吸ケアチーム加算算定要件ではないものの、歯科医師や歯科衛生士、管理栄養士や薬剤師など、より多角的に患者のことをとらえられるようなチームメンバーの参加にも期待が寄せられている。

 

チーム医療の時代

呼吸ケアチーム以外にも、栄養サポートチームや緩和ケアチームなど、近年チーム医療が注目されている。1人の医師が自分の患者を抱え込む時代から、多職種で連携し、患者の回復の近道を模索するチーム医療が、今後の医療の流れとなることは間違いなさそうである。

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

SNSシェア

看護知識トップへ