子宮はどれくらいまで大きくなれるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「子宮の大きさ」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

子宮はどれくらいまで大きくなれるの?

子宮の大きさは、高さ7cm、幅4cm程度です。ところが妊娠すると、長さ30cm、幅25cmほどの大きさにまで広がります。これは、子宮壁が伸縮可能な組織でできているからです。

 

子宮壁は外膜、筋層、内膜の3層から成り立っています。外膜は胸膜や心膜のように、臓器の表面を覆う漿膜です。中央の筋層は、内縦、中輪、外縦という3層の平滑筋で構成されています。

 

分娩の際には、これらの平滑筋が律動的に収縮し、胎児を子宮から押し出します。ちなみに、この筋層に生じる良性腫瘍が子宮筋腫MEMO1)です。

 

最も内側の内膜は、着床した受精卵を育てる部分です。妊娠しない場合は、増殖期、排卵期、分泌期、月経期という周期を繰り返します。

 

内膜に似た組織が、内膜とは異なる場所で増殖する疾患を子宮内膜症MEMO2)といいます。

 

MEMO1子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)

子宮の筋層に発生する良性腫瘍。90% が子宮体部に発生し、腫瘍が大きくなると鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。

 

MEMO2子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)

子宮内膜に似た組織が、卵巣や卵管、腹膜、腟、膀胱などに発生する疾患。異常内膜が月経時に出血を起こしますが、体外へ排出されず組織内にたまってしまいます。

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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