腹水穿刺に腹部エコーを使用!? 安全に腹水を除去する方法

画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
今回は、腹水穿刺と腹部エコーについて解説する「安全に腹水を除去する方法」についてのお話です。

 

加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)

 

実は、腹部エコーが活躍する場面はたくさんあります。

 

簡単に行えて、侵襲性が低くいから、色んな場面でエコーをしたら良いのにって思ってしまいます。

 

確かに、患者さんにとっても、エコー検査は低侵襲なので楽ですからね。
ただ、『エコー(超音波)検査とCT検査の違い』でも解説しましたが、各検査は、それぞれ適した場面で行うべきです。
さて、ここで一つクイズです。エコーが活躍する場面の一つに「穿刺」がありますが、何を穿刺する場合でしょうか?

 

エコーと穿刺ですか!?
穿刺って言えば、腰椎穿刺や骨髄穿刺が思いつきますが、どれも侵襲性がある手技で、イメージが付かないです

 

確かに、穿刺でエコーを使うというのは、なかなか思いつかないかもしれませんね。
実は、腹水穿刺の場合に、エコーを使用するんです。
どのように行うか、しっかり解説します。

 

〈目次〉

 

腹部エコーで非代償性肝硬変の患者さんの腹水を除去する

外来や病棟で行う処置の中には、腹部エコーが必要になるものがあります。

 

その代表的な処置が、非代償性肝硬変の患者さんに対する腹水穿刺です。一般的に、腹水穿刺とは、体表から腹腔に針を穿刺して腹水を採取する、すべての処置を指します。そのため、少量の腹水を採取することも腹水穿刺と呼びます。しかし、非代償性肝硬変の患者さんに対して行う腹水穿刺は、過剰な腹水による腹満感や呼吸困難感の緩和を目的としています。

 

この手技では、腹腔内にエラスター針を留置し、腹水を除去する処置を行います。一般的に、1回の処置で2,000mL~3,000mLの腹水を除去します。

 

症状の緩和を目的とした腹水穿刺

肝硬変に限らず、慢性疾患を抱えた患者さんに腹水が生じた場合、基本的には利尿剤などの薬剤でコントロールします。一般的に、穿刺して腹水を除去する行為は、出血や感染のリスクを伴うため、行いません。

 

しかし、薬剤によるコントロールが不良で、腹水によって腹満感が強くなってしまったり、腹水が胸腔まで圧迫し、呼吸に影響を与えてしまう場合には、症状の緩和を目的として、外来や病棟で腹水穿刺を行うことがあります。

 

安全な穿刺位置を探すために必要になる腹部エコー

腹水穿刺を行う際には、安全な穿刺位置(十分に腹水が貯留していて、腹壁と腸管との距離が十分に空いている位置)を探す必要があります。このときに、腹部エコーを使用します。

 

手順としては、エコーによる穿刺位置確認後、消毒、局所麻酔し、19G~20Gのエラスター針を留置します。この状態で1時間~2時間かけて腹水を除去します。腹壁に対して垂直な角度を維持したほうが、腹水がよく引けることが多いです。

 

筆者の施設では、紙コップに切り込みを入れ、簡易的な固定具を作成しています(図1)。

 

図1紙コップを利用した固定具

 

紙コップを利用した固定具

 

A:紙コップの底の中心に穴を空けます。
B:紙コップの側面をハサミで切り、底に空けた穴につながるように、切れ込み入れていきます。
C:約3cmごとに、紙コップの半分まで切れ込みを入れ(タコの足のように)、切れ込みを外側に折ります。
D:点滴用チューブを接続したエラスター針を紙コップの底の穴に通し、タコの足状になった紙コップを腹壁に貼り付けて固定します。

 

腹腔内に液体が貯留しているエコー像を覚えておこう

外来で行う腹水穿刺は、エコーを使用する代表的な処置です。

 

腹水穿刺を行う必要があるほど、腹水が貯留している患者さんのエコー像を覚えておくと、エコーで腹腔内にある液体の貯留がどのように見えるのかがよくわかるはずです。

 

機会があれば、このようなエコー像を積極的に見ると、勉強になって良いと思います。

 

 

Check Point

  • 非代償性肝硬変の患者さんの腹水を除去するために、腹部エコーを使用します。
  • エコーは、安全な穿刺位置を探すために必要になります。
  • 腹腔内に液体が貯留しているエコー像を覚えておきましょう。

 

 


[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科

 


Illustration:田中博志

 


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