肝内胆管が拡張しているエコー像

画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。

 

[前回の内容]

肝内胆管拡張症は閉塞性黄疸のサイン

 

今回は、「肝内胆管が拡張しているエコー像」についてのお話です。

 

加藤真吾
(横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室)

 

エコー検査はとても便利な検査ですが、実は、通常の(健康な)ヒトの肝内胆管はとても細いため、エコーでは描出できないんです。

 

肝内胆管は、エコーに映らないんですか。
だったら、エコー検査をする必要ってないんじゃないですか?

 

それが逆で、肝内胆管こそエコー検査が必要なんです。
肝内胆管はとても細い管ですが、これが拡張する(太くなる)とエコーに映ります。
つまり、肝内胆管が拡張している患者さんを見分けるために必須の検査なんです。

 

〈目次〉

 

肝内胆管拡張のエコー像

肝内胆管は非常に細いため、通常、エコーでは描出できません。しかし、胆管閉塞によって、胆管内の圧が上昇すると、肝内胆管が拡張し、エコーで描出できるようになります。

 

肝臓の中では、胆管・動脈門脈という3本の管が被膜に包まれて一緒に走行しています(これをグリソン鞘と言います)。この3本の中で、門脈だけは比較的太く、通常の状態でもエコーで描出できます

 

医師は、エコー検査時に、この3本の管の太さの違いを利用して、門脈と一緒に走行する脈管が描出されなければ「肝内胆管の拡張なし」と診断し図1)、描出されれば「肝内胆管の拡張あり」と診断しています図2図3)。

 

図1肝内胆管の拡張がないエコー像

 

肝内胆管の拡張がないエコー像

 

門脈と並走している肝内胆管は見えません。

 

図2肝内胆管の拡張があるエコー像

 

肝内胆管の拡張があるエコー像

 

門脈と並走している肝内胆管が見えます。
これが、肝内胆管が拡張している証拠です。

 

図3肝内胆管の拡張がある患者のCT像

 

肝内胆管の拡張がある患者のCT像

 

図2で紹介した肝内胆管の拡張がある患者さんのCT像です。
中部胆管に狭窄部位が見られます。肝内胆管は軽度拡張しています。

 

エコー検査の準備

外来や病棟でのエコー検査は、医師が準備を行う場合が多いですが、看護師の介助があると医師はとても助かります。検査の前に、看護師は表1の①~⑤までの準備を行いましょう。

 

 

表1検査前に準備すべきこと

 

患者さんに仰臥位で寝てもらいます。
エコー機器を患者さんの右側、頭側に設置します。
服にエコーゼリーがつかないように、胸の位置まで服をしっかりとまくり上げます。
女性の場合、必要時以外は胸にタオルをかけましょう。 
医師がエコー画面を見やすいように電気を消します。
検査終了後にエコーゼリーを拭けるようにタオルなどを準備しておきましょう。

 

検査後の片付け

検査後は患者さんの体に付いたエコーゼリーを拭いて、患者さんの衣服を整えます。また、エコーのプローブを拭いて、機器を片付けます。

 

申し送り時のポイント

検査結果の申し送りは、エコー検査の結果によって決定された方針まで伝えると、引き継ぐ看護師がわかりやすくなります。

 

申し送り例①:肝内胆管拡張がない場合

右季肋部痛を訴えていたので、腹部エコーを行いました。
肝内胆管の拡張はなく、少なくとも閉塞性黄疸ではなさそうとのことです。

 

申し送り例②:肝内胆管拡張がある場合

右季肋部痛を訴えていたので、腹部エコーを行いました。
肝内胆管の拡張が認められ、閉塞性黄疸の疑いが強いそうです。
これからCTですが、おそらく本日中に内視鏡の処置が入ると思います。

 

記録記入時のポイント

検査結果の記録は、所見をすべて書く必要はないと思いますが、臨床上必要な陰性所見の記載は残しておくべきだと思います。

 

右季肋部痛と黄疸に対するエコー検査では、「肝内胆管の拡張の有無」がそれに当たります。

 

記入例①:肝内胆管拡張がない場合

記入例①:肝内胆管拡張がない場合

 

記入例②:肝内胆管拡張がある場合

記入例②:肝内胆管拡張がある場合

 

 

Check Point

  • 通常、肝内胆管はエコーで描出されませんが、胆管が拡張している時のみ、エコー検査で診断可能になります。
  • 申し送り時には、肝内胆管の拡張の有無がどちらであっても、検査結果によって決定された方針まで伝えましょう。
  • 看護記録には、肝内胆管の拡張の有無について記載しましょう。

 

[関連記事]

 


[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室

 


Illustration:田中博志

 


この記事をシェアしよう

看護知識トップへ