肝臓のはたらき|からだずかん【35】

『ゆるっとポップな解剖生理学 からだずかん』(KADOKAWA)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は3章『消化器系』より、「肝臓のはたらき」について解説します。

 

著:角野ふち
 

肝臓のはたらき

肝臓(かんぞう)には、肝動脈(かんどうみゃく)だけでなく、静脈血(じょうみゃくけつ)が流れる門脈(もんみゃく)が入っています。

そのため、血液がたくさん流れるしくみとなっています。

 

そんな肝臓は、血液に含まれる物質を代謝したり解毒したりと大切なはたらきを担っています。

 

肝臓の主な4つの機能を説明するイラスト図解。1.代謝(物質の合成と分解によるエネルギー管理)、2.解毒・排泄(アルコールやアンモニア等の有害物質の処理と胆管経由での排出)、3.貯める(鉄分やビタミンA・D・B12等の貯蔵)、4.胆汁づくり、という4つのポイントが「化学の工場」という比喩と共に描かれています。肝臓のキャラクター内にはFe、VA、VD、VB12、NH3、ALCなどの記号が記され、不要なものが排泄されて腸へ向かう流れも示されています。

 

代謝

肝臓における5つの主要な代謝と処理のフロー図。 1.糖質:グルコース(ブドウ糖)をグリコーゲンとして合成・貯蔵し、必要に応じてグルコースへ分解する。 2.タンパク質:アミノ酸からアルブミンや凝固因子(血漿タンパク質)を合成。また、分解過程で生じるアンモニアを解毒し尿素へ合成する。 3.脂質:脂肪酸やモノグリセリドから、リン脂質、コレステロール、中性脂肪、胆汁酸を合成する。 4.ビリルビン:ヘモグロビンの代謝による間接ビリルビンを、グルクロン酸抱合により水に溶けやすい直接ビリルビンへ処理し、胆汁として排出する。 5.ホルモン:エストロゲンやバソプレシンなどを不活性化し、作用しなくなったホルモンとして排泄へ向かわせる。

 

解毒&排泄

代表的な解毒のはたらきをみてみましょう!

肝臓による解毒と代謝のプロセスを説明するイラスト図解。 1.アルコールの分解:アルコールから有害なアセトアルデヒドを経て、無害な酢酸へと分解される流れ。 2.アミノ酸の分解:タンパク質由来のアミノ酸から有害なアンモニア(NH3)が生じ、「尿素回路」を経て無害な尿素へと作り変えられる流れ。 3.おくすりの代謝(初回通過効果):口から入った薬(内服薬)などの化学物質が、全身をめぐる前に肝臓で分解・代謝される「初回通過効果」の仕組み。

 

貯める

肝臓は、赤血球(せっけっきゅう)をつくるために必要となる鉄(Fe)をはじめ、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンDなどを貯める機能をもちます。

「沈黙の臓器」としての肝臓の特徴を説明する図解。上部には肝臓と脾臓のキャラクターが並び、「血液を貯めておくはたらきを脾臓と協力」という説明があります。メインのメモには、障害が起きても症状が現れにくい理由が「予備能力」にあること、全体の80%を切除しても機能を保ち、元の大きさに戻る「再生能力」があることが記述されています。

 

胆汁づくり

脂肪の消化に欠かせない胆汁(たんじゅう)は肝臓で生成しています。

胆汁の成分と流れを説明するイラスト。胆汁の主成分として「胆汁酸」「リン脂質」「コレステロール」「胆汁色素」「ビリルビン」が挙げられています。右側には胆汁が肝臓で作られ胆嚢へ貯蔵される仕組みが示されています。

 

そのほか、胎児期(たいじき)には造血機能(ぞうけつきのう、血液細胞をつくる)をもちます。

 

大人になるとその機能は失われて骨髄(こつずい)が造血機能を担います。

胎児期において肝臓が造血(血を作る)機能を担っているという解剖生理学的な役割を象徴的に表現しています。

 

 

[出典] 『ゆるっとポップな解剖生理学 からだずかん』 (著者)角野ふち (監修)嵯峨 堅、能間 国光/2024年5月刊行/株式会社KADOKAWA

 

著者プロフィール
角野ふちプロフィール

角野ふちXInstagram

看護師、保健師、イラストレーター。

 

人のからだをかわいくポップなイラストで解説するコンテンツ『からだずかん』を、SNSやWebサイトで発信。

イラストを手がけた書籍に『薬メモ!』(大田和季著・じほう)、『みんなの救命救急科』(三谷雄己著・中外医学社)など。

日本メディカルイラストレーション学会会員。

 

webサイト: からだずかん
ショップ: ぞーきーず

 

 

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