胸腔ドレーンから、エアリークが急に発生した!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、胸腔ドレーンから、エアリークが急に発生した場合について解説します。

池田 亮

日本赤十字社 愛知医療センター 名古屋第二病院 看護部
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

 

 

患者の胸腔ドレーンから、エアリークが急に発生し、その様子に焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

胸腔ドレーンからのエアリークでは、気胸の再発や肺切除術後の合併症、ドレーン回路の問題などが考えられます。
呼吸状態の観察を行い、エアリークの有無、呼吸性変動の有無、ドレーン回路の緩みの有無などの観察を日頃から行うことが重要です。

 

POINT
  • 胸腔ドレーンからのエアリークは、肺切除後の縫合部の破綻や肺損傷、気胸の再発、回路リーク(ドレーン挿入部や回路の接続部からの空気の引き込み)などが原因になります。
    エアリークの原因を理解し、対応できるようにしていきましょう。

 

 

起こった状況

症例

気胸のため胸腔ドレーンを留置して5日目の患者Aさんは、トイレから戻ってきた際に持続吸引システムの中にボコボコと空気が出てきていることに気づきました。

 

昨日からほとんど出ていなかったため、ナースコールを押して看護師に報告しました。

 

Aさんは呼吸困難感などの自覚症状はなく、呼吸回数や呼吸パターンも正常でした。
持続吸引システムのエアリークは呼吸に関係なく出続けており、確認するとドレーンの接続部が緩んでいるのが発見されました。

 

 

どうしてそうなった?

中等度の気胸のため胸腔ドレーンを留置しており、はじめはエアリークを認めていましたが、徐々に消失していました。

 

ドレナージ留置から5日経過し、トイレや買い物などのため持続吸引システム(図1)を持って歩く機会が増えているところでした。

 

活動性が徐々に増加したことで、ドレーンの刺入部や回路の緩みが出てきてしまい、それに伴って空気の引き込みが行われてエアリークを発生させてしまいました。

 

図1電動式持続吸引システム

電動式持続吸引システムの写真

 

[編者注]電動式吸引システムの場合、持続吸引の設定圧は機械本体で設定するため、常時水泡は発生しません。
電動式の場合、図1の右側が水封室になるため、ここに水泡を認めた場合、エアリークと判断します。

 

 

どう切り抜ける?

1 患者さんの状態を観察する

胸腔ドレーンからのエアリークは、どのような目的で留置されているかによってとらえ方が異なります。

 

肺切除術後などの胸腔内血液や滲出液の排液目的でエアリークがあれば、肺瘻などの合併が考えられます。

また、今回のように気胸であれば再発が考えられます。

 

いずれにしても、エアリークが起こった場合には、胸腔内に空気が漏れて気胸を起こしていると考えられます。

 

しかし、活発な活動により体を動かしたことでドレーンの先端が動き、胸腔内に残っていた空気が排気されることもあります。

 

そのため、患者さんの呼吸回数やパターン、胸郭の動き、呼吸困難、SpO2値、エアリークの持続性、エアリークの有無、呼吸性変動の有無などの観察を行い、患者さんの状態をアセスメントする必要があります。

 

2 胸腔ドレーン・持続吸引システムの確認を行う

積極的に歩けるようになると、体動によってドレーン刺入部の固定や接続部が緩み(図2)、ドレーン刺入部や接続部からの空気の吸い込みなどのドレーントラブルが生じてくることがあります。

 

図2ドレーンの接続部の緩み

ドレーンの接続部の緩みを表した写真

 

ドレーンを一時的にクランプすることで、エアリークが止まるのであれば胸腔内の問題であり、止まらなければ胸腔外のトラブルと判断もできます。

 

また、呼吸性変動がなくエアリークがあれば胸腔外のトラブルであることがわかります。

胸腔外のトラブルであれば、刺入部の観察として、刺入部周囲を手で圧迫して、エアリークが止まれば刺入部周囲からのエアの吸い込みが原因だと判断できます。

 

エアリークが止まらなければ、ドレーンの接続部が緩んでいないか確認します。

 

その他、持続吸引システム本体やドレーンそのものが損傷していないかも確認しておく必要があります。

 

3 医師へ報告し対応する

急にエアリークが発生したときは、前述のように原因検索を行い、医師へ報告します。

 

ドレナージ刺入部の問題であれば医師による縫合で隙間をなくす、またはフィルムドレッシング材などで刺入部を覆い、エアを吸い込まないようにする必要があります。

 

また、ドレーン回路の接続部の緩みであればタイガンベルト(図3)などを用いてしっかりと固定します。

 

また、肺内への空気や排液の逆流入などにより、ドレーンからの感染のリスクが広がる可能性があるため、医師へ診察を依頼します。

 

図3タイガンとタイガンベルト

タイガンとタイガンベルトの写真

 

 

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参考文献 閉じる

1) 葛川元編著:自己抜去はもうサヨナラ!点滴・ドレーンの知識.日本離床学会編集協力,実践!離床完全マニュアル2.慧文社,東京,2018:80-81.

2) 桐林孝治:胸腔ドレーン管理のトラブルシューティング.消化器外科 ナーシング 2013;18(12):1146-1148.

3) 杉尾賢二,北村昌之,小野原俊博,他:胸腔穿刺・胸腔ドレナージ.臨床外科 2000;55(10):1259-1261.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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