胸腔ドレーンから排液がなくなった。翌日抜去を検討することになったが数時間後呼吸状態が悪化した!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、胸腔ドレーンの閉塞によって排液が減ったことに気づかず呼吸状態が悪化した場合について解説します。

世戸 理恵子

兵庫医科大学病院 看護部
クリティカルケア認定看護師

 

 

 

患者さんの胸腔ドレーンの閉塞によって排液が減ったことに気づかず呼吸状態が悪化したことに焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

胸腔ドレーンの閉塞を防ぐ最大のポイントは、胸腔ドレーンの排液量と性状の推移をアセスメントすることです。
排液の性状が血性であり粘稠度が高い場合は、あらかじめ閉塞のリスクを考えたうえでドレーンの管理を行うことが必要になります。
リスクをアセスメントしたうえで患者さんを観察することですぐに変化を捉え対応できるようになります。

 

POINT
  • 胸腔ドレーンを挿入している患者さんの観察をする際、排液量が徐々に減少したのか、急激に減少したのか、その推移を確認することが必要となります。
    排液量が急激に減ったとき、胸腔ドレーンの閉塞を疑い、胸腔ドレーンの回路の観察や呼吸状態の変化に注意しなければなりません。

 

 

起こった状況

症例

患者Aさん。既往に心房細動があり、抗凝固薬を内服しています。
交通外傷で入院し入院後のCT検査で右の血胸が見つかりました。
入院同日に血胸に対して、胸腔ドレーンを挿入しています。

 

入院後3日までは胸腔ドレーンからの排液量も多いため止血剤を点滴で投与しており、血性で粘稠度の高い排液が続いていました。

 

入院4日目になり、排液量が急激に減少したため、翌日胸腔ドレーン抜去を検討することになっていると夜勤の申し送りがありました。

 

Aさんからナースコールがあり受け持ち看護師が訪れると「息がしんどい」との訴えがあり、SpO2が低下しています。
胸腔ドレーンからは排液がありません。
受け持ち看護師はどうして呼吸状態が悪化したのかわからずオロオロしています。

 

 

どうしてそうなった?

胸腔ドレーンの排液量低下が見られる場合は、治療経過による排液量の減少、粘稠度の高い排液(フィブリンや凝血塊、壊死組織)による胸腔ドレーンの閉塞、ドレーンの屈曲や圧迫による閉塞、ドレーン先端部の位置のずれ、ドレーンの抜けなどの原因が考えられます。

 

胸腔ドレーンを観察する際には、排液量の推移を観察し、徐々に排液量が減少しているのか、それとも急激に排液量が減少しているのかを観察する必要があります。

 

さらに、排液の性状の観察も大切になります。粘稠度の高い、血性の排液であれば、ドレーンが閉塞しやすくなるため、適宜ミルキングを実施しなければ胸腔ドレーンが閉塞し、排液できない血液が胸腔内に貯留し呼吸状態が悪化することで危険な状態になります。

 

 

どう切り抜ける?

1 胸腔ドレーンの観察を行う

呼吸状態が悪化した原因が、胸腔ドレーンの回路ではないか確認します。
胸腔ドレーンの排液システムは、古典的三びん法(3連ボトルシステム)を基本としています(図1)。

 

図1チェスト・ドレーン・バックの原理

チェスト・ドレーン・バックの原理を表した図

 

吸引方法には、水封式サイフォン法と低圧持続吸引法があります。
水封式サイフォン法は吸引をかけずサイフォンの原理で排液を促します(図2)。
低圧持続吸引法は、持続的に低圧の吸引をかけて、排液を促します。

 

図2サイフォンの原理

サイフォンの原理を表した図

高いほうから低いほうへ水が移動して水面が一定になる。

 

胸腔ドレーンの観察は水封室を観察し、水封部の液面の呼吸性変動(図3)、エアリークとバブリング(図4)の有無を観察します。
呼吸性変動が消失した場合は、ドレーンの閉塞が考えられます。

 

図3呼吸性変動

呼吸性変動を表した図

呼吸性変動とは、水封室の水が吸気時に上昇、呼気時に下降し胸腔ドレーン内の液体が呼吸に伴い変動することをいう。

 

図4エアリークとバブリング

エアリークとバブリングを表した図

エアリークとは、空気漏れのことである。肺から漏れた空気は水封室で気泡が出ること(バブリング)により確認できる。呼気時に間欠的に気泡が出ることが、ドレーンが胸腔内に留置されている指標となる。

 

2 排液の性状を確認する

排液の性状によってドレーンは閉塞しやすいため排液の性状を観察することも重要です。
胸腔ドレーン抜去のタイミングは、排液量が減少することも大事ですが、排液の漿液性変化が見られることも大切です(図5)。

 

図5排液の性状変化

排液の性状変化を表した図

時間とともに血性から漿液性へと変化していく。

 

そのため、排液量のみで胸腔ドレーンの抜去を検討するのではなく、性状や、採血データ、X-Pの評価を行ってから胸腔ドレーンの抜去は検討します。

 

粘稠度が高い排液の場合、ミルキング等を実施し閉塞を解除します。
閉塞が解除できない場合は、ドレーン内の洗浄やドレーン自体の入れ替えを検討します。

 

3 呼吸状態の観察を行う

胸腔ドレーンの閉塞により、呼吸困難感が増強する場合、呼吸状態の観察を密に行うことが重要です。
呼吸回数の観察はもちろん、呼吸音の左右差、SpO2の測定や酸素投与を行い、患者さんに安楽な姿勢を促します。
さらに、採血やX-P、ドレーンの入れ替えを行う可能性があることも念頭に置いて行動しましょう。

 

 

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参考文献 閉じる

1) 道又元裕:ドレーン管理デビュー はじめてでもすぐできる すぐ動ける.Gakken,東京,2016:113-120.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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