精神疾患・障害の特徴と看護（62問）　生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群

第103回午前80問

Aさん（42歳、男性、事務職）は、仕事中に居眠りをすることが多いと上司に注意されていた。Aさんの睡眠時間は7時間であり、寝つきはよいが、毎朝寝不足と頭痛を感じていた。最近、いびきがひどいと家族から指摘されて受診した。Aさんは、身長165cm、体重81kgである。

最も考えられるのはどれか。

1.　うつ病
2.　低血糖症
3.　もやもや病
4.　ナルコレプシー
5.　睡眠時無呼吸症候群

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解答・解説

1.　うつ病: うつ病の症状である気分の落ち込みなどが設問にはないため、うつ病であるとはいいがたい。
2.　低血糖症: 低血糖症の症状である冷や汗、手指の振戦などがないため、低血糖症は考えられない。
3.　もやもや病: もやもや病とは、脳の内頸動脈が、頭蓋内で時間をかけて徐々に狭くなり、その後閉塞してしまう病気である。
4.　ナルコレプシー: ナルコレプシーの症状には日中の過度な眠気がある。設問も同様であるが、Aさんは、毎朝寝不足と頭痛を感じていたこと、最近、いびきがひどいと家族から指摘されたこと、身長165cm、体重81kgと肥満であることなどから、睡眠時無呼吸症候群と考えるほうが妥当である。
5.　睡眠時無呼吸症候群: 設問に、「毎朝寝不足と頭痛を感じていた。最近、いびきがひどいと家族から指摘されて受診した」とあり、「身長165cm、体重81kg」は肥満であることから、睡眠時無呼吸症候群が起こっていると考えられる。

睡眠時無呼吸症候群とは、入眠中に呼吸停止または低呼吸の状態が引き起こされる病気である。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に起こるため、自覚症状がなく家族に指摘されて初めて気がつくことが多い。日中に強い眠気を感じるため、活動に影響を及ぼす。また無呼吸状態による体内の酸素不足から、起床時に頭痛を感じる人もいる。その他、集中力や記憶力の低下、夜間の中途覚醒や口渇などの症状が出現する。原因は、肥満、扁桃肥大、アデノイド、舌根沈下などから入眠中に上気道がふさがってしまうことで発症する。医学的には「気道の空気の流れが10秒以上止まった状態」と定義される。無呼吸が7時間の睡眠中に30回以上、もしくは1時間当たり5回以上確認されると睡眠時無呼吸症候群と診断される。