状況設定問題（164問）　精神疾患・障害の特徴と看護

第110回午後109問

次の文を読み問題1に答えよ。
Aさん（32歳、男性）は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。

問題1
入院時のAさんへの看護師の対応として適切なのはどれか。

1.　二度と使用しないと約束させる。
2.　回復が期待できる病気であることを伝える。
3.　使用をやめられなかったことに対する反省を促す。
4.　自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。

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解答・解説

1.　二度と使用しないと約束させる。: 二度と使用しないと決意しても、ほとんど持続できないのが薬物依存症である。約束するより、薬物を使用しなくなるような環境づくりをする。たとえば医療施設・相談所などへの通院の持続、薬物依存症の自助グループであるダルク（DARC）などへの参加を通して、回復をめざす活動を続けることが必要である。
2.　回復が期待できる病気であることを伝える。: 医療や自助グループなどへの参加により一歩ずつ依存から離れることができ、また、回復に向かう支援を受けながら努力することによって通常生活が送れるようになることを伝える。これにより患者は不安を払拭でき、努力を続ける気持ちになれる。
3.　使用をやめられなかったことに対する反省を促す。: 反省を促し、Aさん自身が薬物をやめられなかったことを反省しても、薬物をやめることにはつながらない。
4.　自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。: 強い意志を持っても、薬物を得る機会があればまた使用する状態に逆戻りしてしまうのが依存症の難しいところである。

薬物依存は｢薬物の作用による快楽を得るために、有害であることを知りながらその薬物を続けて使用せずにいられなくなった状態｣であることを踏まえたうえで対応を考えよう。