一歩ずつ、ふたりの歩調を合わせて｜マンガ・ママナースもも子の今日もバタバタ日誌（191）

2021/06/08

（これまでの話は▶コチラ）

もも子と一緒に前に進んでいきたい草壁先生ですが…

ある日のこと。モジャ先生と看護師さんが休憩中に話しています。「先生ー今日こんな夢を見てねー」と話す看護師さんにモジャ先生は「ほう」と聞きますが、内心は（雑談している時、人の夢の話ほど聞きたくない話はない。ヤマなしオチなしで、まして現実でもないので聞いたところでほんとしょーもない話だからだ）とあまり乗り気ではなさそう。そう思いつつ「それでそれで」と先生が返しました。

「先生が結婚する夢を見たんですよ!!お相手はなんと!!バツイチのシングルマザーっていう」という看護師さんの話を聞いてモジャ先生はいつもは見えない目をじとっと開けて「…」と考え込みました。そして草壁先生に「聞いたか草壁!!ボヤボヤしてると俺が結婚しちゃうぞ」と言いました。それを聞いた草壁先生は「わーやめてください～!!縁起でもない!!」と言いました。

「ちなみにそのシングルマザーってどんな感じの女性?」とモジャ先生が看護師さんに聞くと、「昔のヤ〇キーみたいなきつい感じだけどかわいい子でしたよ」と看護師さん。「誰ソレ」ともも子とは異なる印象の女性を言われてモジャ先生は期待外れな様子です。草壁先生も「もも子さんじゃないですね!!彼女はきついところ全然ないですから…」と安心したように言いました。すると看護師さんが草壁先生に「そういえば先生!!式はいつなの?」と聞きました。「式…?」と草壁先生が聞き返すと、看護師さんは「もー結婚式ですよ!!」と言いました。

それを聞いた草壁先生は「う、うっ」とこの前のことを思い出し悲しくなりました。「あーあーできたてホヤホヤの傷口を…」とモジャ先生が言いましたが、何も知らない看護師さんは「?」とクエスチョンマークが浮かんでいました。その日の夜、病院にて、モジャ先生と草壁先生が話しています。「まぁ…でも結婚を断られたわけではあるまい…」とフォローするモジャ先生。草壁先生は「ごめんなさい…御両親に会うのはまだちょっと怖いです」というもも子から言われた言葉を思い出し「うーん…そうなんですかねー…」と自信なさげに答えました。

「その後何も聞けてないの?」モジャ先生の問いに「はい…何か怖くなっちゃて…」と草壁先生が答えました。「…フーン」と何か考えている様子でモジャ先生が言い、「俺…恋愛は全然しないけど恋愛相談はなぜかよくされるんだけどそんな俺に聞くお前もどうかしてると思うけど誠心誠意回答するよ」と回りくどく言いました。「はぁ…」と気の抜けた返事をする草壁先生に「まだと言ってるんだからまだなんだよ。てことは段階を踏んでないのでは?」とモジャ先生がアドバイスしました。

それを聞いた草壁先生は「…」と黙り込んでしまいました。帰り道、草壁先生はもも子のことを考えていました。（彼女と過ごす日々が一日一日と増えていって、どんどん距離も近づいていると思っていたけれど俺ばかりが焦っていたのかな）（たくさんたくさん断られてきて、何度も諦めようとしたけれど、結局忘れられなくて）ともも子の笑顔を頭に浮かべながら考えました。

（ようやく付き合えて心を開いてくれたと思った、あの時の天にも昇る気持ちを今も思い出して噛みしめているのに）（前へ前へ進もうとしているのは僕だけで…。急に一緒に進むのが嫌になっちゃった?）と自分だけが焦っているのではないかと少し悲しい気持ちになりながら歩いて行きました。もも子の家へ向かう途中、ケーキ屋さんに寄りました。「このチョコレートパイひとつとフルーツタルト、ショートケーキをお願いします」

（こういうの選んでる時間もすごく楽しい…）ともも子とかず君の喜ぶ顔を思い出しましたが、（それも…僕だけなのかな…）とセンチメンタルな気持ちになりました。もも子の家へ到着しピンポーンとチャイムを鳴らしました。「あっコーン君だコーン君!!」とかず君が嬉しそうに草壁先生を出迎えました。「コーン君コーン君!!あのね今日の晩ゴハン何かしりたいー?」ともじもじしながらかず君が聞きました。草壁先生は「知りたいなー」と言いました。

「あのねー”カ”がつくのさいごは”レ”がつく」とかず君がヒントを出すと「カレーね」と草壁先生が答えました。「なんでわかるのー」とびっくりしたかず君に草壁先生は「匂いでわかるよ」と楽しそうに言いました。そこへもも子が顔を出し「あっいらっしゃい!!」と先生を迎えました。そして「こういちさん!!今日忙しかったからカレーにしちゃった!!でもおいしいよチキンカレー」と名前で呼んでくれました。

それを聞いた草壁先生は「あ…」と驚いて、でも嬉しそうに声を漏らしました。まだ恥ずかしそうに、名前を呼んでくれたもも子を見て（彼女を信じよう、僕の愛した人だから）と改めて思った草壁先生。「僕も、ケーキ買ってきたよ」と言うと、もも子とかず君は思った通り、「ほんと!?わーいうれしー」と喜んでくれたのでした。