看護師としての、死との向き合い方|ナースのお悩み処方箋【26】

 

看護師としての、死との向き合い方

 

「人が死ぬのが当たり前。看護師として嘆くような特別のことじゃない。でもひとりの人間として、亡くなった人を悼む気持ちはなくしてはならない」

 

私が看護師として初めて配属されたのは、終末期病棟でした。
新人ゆえにできることなんて、そう多くはありませんし、今にも亡くなりそうな患者さんの担当になることはまずありませんでした。
担当になった、あまり重症ではない患者さんに、『誰かと話す』ということで退屈な入院の慰めにしてもらおうと思っていました。

 

でも、私は甘かったのです。
終末期病棟というものをナメていました。

 

仲良くなった患者さんの状態が、時間をおいて、少しずつ悪くなってゆくのです。
早ければ一週間という単位で、私の担当から外され、そして、亡くなってしまうのです。

 

新人ゆえに急変のケアに入らせてもらえず、全てが終わった後、エンゼルケアのために、最後のケアに関わらせていただけるのです。

 

泣きたい。
でも、泣けば叱られるから、泣けない。

 

心がどんどんひび割れてゆくのが、自分でもわかりました。
こんなに辛くなるのなら、患者さんとは仲良くならなくてもいい。
むしろ、仲良くならない方がいい。
だって辛いもん!

 

そんな折、師長さんが声をかけてくれたのです。
「人は必ず死ぬもの。この病棟は、他の病棟よりそれが多いだけで、本来、死というものは、もっと身近なものなのよ」と。

 

「仲良くなった患者さんを見送るのは、たしかに辛いし、キツいわよね。
だから、心を閉ざして、事務的に接するケアのやり方を否定しないよ。
でも、死にゆく患者さんにとって、最期の場所で仲良くしてくれる人がいたってことは、最後の旅立ちに際して、心の支えになるんじゃないかなぁ?」

 

泣きました。
主任さんに「目が溶けるよ」と笑われてしまうほど、泣きました。

 

私が後輩看護師に「泣いてもいい。むしろ泣け」と言うのは、この思い出があるからです。
とはいえ、泣きすぎて仕事にならなかったり、ご遺族の悲しみを邪魔するほど嘆いたりすれば、容赦なく叱りますけど。

 

 


 【岡田久美】 兵庫県出身。看護書籍の編集とゲームシナリオライターを本業に、フリーの看護師として活躍中。いつでもどこでもどんなところでも勤務できるオールマイティな看護師を目指し、これまでの勤務職場は病院、クリニックなど30以上。

著書に「看護師の流した涙」(ぶんか社)がある。

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