2016年の新人看護師は「さとり×ドローン」～先輩看護師に捧ぐ「新人看護師」入門～

「これだからゆとり世代は……」

毎年この時期になると、新人看護師に対しての不満や愚痴が聞こえてきます。

今年の新卒新人の多くは、20～22歳。1990年代に生まれたこの世代は「ゆとり世代」として知られていますが、ここ数年で「さとり世代」と呼ばれるようになりました。無欲で、向上心のない「さとり世代」に頭を抱えている先輩看護師も多いのではないでしょうか。もしかしたら、そんな悩みも彼らを知れば解決できるかもしれませんよ。

今回は、「今年の新人看護師」の傾向と上手に付き合う方法について紹介します。

【目次】

・今年の新人は「さとり世代×ドローン型」

・不景気と情報社会が生んだ？さとり世代の流行まとめ

・2016年版・新人看護師との上手な付き合い方

・新人看護師の成長は先輩のあなたにかかっている！

今年の新人は「さとり世代×ドローン型」

「さとり世代」は「ゆとり世代」と呼ばれたくない1990年代生まれの若者たちによって、つくられた名称です。

しかし、ゆとり世代にはあまり見られない特徴を持ち合わせているので、全く一緒というわけではないようです。さとり世代は「ゆとり世代から派生した若者たち」と考えると分かりやすいかもしれません。

さとり世代は、「世の中の全てを悟ったかのような、現実主義者」のようです。

さらに、今年社会人になった新人に絞るとどうでしょうか。毎年新入社員の特徴に名前をつけている『公益財団法人 日本生産性本部』では、今年の新人を「ドローン型」と名づけています。その由来は次の通りです。

過去には以下のタイプが発表されています。

不景気と情報社会が生んだ？さとり世代の流行まとめ

バブル崩壊後に生まれたため好景気を知らないこと。

インターネットの普及により簡単に情報を得られること。

この2つのできごとがさとり世代へ大きく影響を与えたと考えられています。

さとり世代が育った環境をイメージするために、「主なできごと」と「流行したもの」をまとめてみました。新人看護師との会話のネタにもなりそうですね。

さとり世代×ドローン型新人との上手な付き合い方

さとり世代の特徴や、育ってきた時代背景を見ても、じゃあどのように接すればいいの？というのが本音なのでは。

これまでに先輩看護師が経験した「さとり世代あるある」と、その対応の仕方について紹介します。

（1）言われたことをそのまま受け取る？

「○○さんの点滴を見てきて」という指示に対して「○○さんの点滴、ちゃんとついていました」と、ただ点滴を見て帰ってきた。

さとり世代には、言われたことをそのまま受け取るという傾向があります。具体的な指示を出してあげると良いでしょう。

さとり世代には情報処理能力が高い人が多いので、しっかり説明してあげることで大きな成長も期待できます。

（2）あいさつをしない？

いつの間にか出勤している、気付いたらもういない。

出退勤の際に「おはようございます」「お先に失礼します」とあいさつするのは当然ですが、さとり世代はそのような習慣を省いてしまう傾向があります。インターネットネイティブで直接顔を合わせないコミュニケーションも多いため、習慣がないためと言われています。

とはいえ、ドライな特徴の反面、打たれ弱いという特徴もあるため叱ってはいけません。

気がついたら、こちらから優しくあいさつをしてみましょう。あいさつのあとに一言加えると、コミュニケーションの機会も増えます。

（3）やる気を感じない？

指導してもメモを取らない、返事が曖昧。

さとり世代は、無気力で向上心がない傾向があります。しかし、ここでも叱るのは逆効果です。充実感に乏しい世代なので、褒めて達成感や充実感を与えてあげましょう。

新人看護師のモチベーションを上げられるだけではなく、行動を改善するきっかけにもなります。

新人看護師の成長は先輩のあなたにかかっている！

新人看護師がどう成長するかは、あなたの手腕次第です。

「なんで私たちが気を遣わなきゃいけないの！」と思うかもしれません。しかし、あなたも昔は「新人」だったのです。たくさん怒られて落ち込んだり、看護師を辞めたいと思ったりしませんでしたか？

そのときのことを思い出して、もう少し新人看護師に寄り添ってあげましょう。

簡単ではありませんが、 この経験がきっとあなたの看護師としての可能性を広げてくれますよ。

（参考）

公益財団法人 日本生産性本部

喜多野 正之『さとり世代のトリセツ』（秀和システム）