首都直下地震で医療機関の638ヶ所が被災、4万9000床が使用不能に―厚労省調査
【ナース知っ得ニュース 2015/10/01】
首都直下地震が起きた際、東京・埼玉・千葉・神奈川にある医療機関の約2割が被災し、推計約4万9000床が使用不能になる恐れがあることが、厚生労働省の調査で分かりました。
災害拠点病院については、患者さんの受け入れが可能な病院が19ヶ所減ることで、近隣病院への搬送の必要性も出てきています。
医療機関2割、被災の恐れ=災害拠点19カ所受け入れ不能-首都直下で推計・厚労省(時事ドットコム)
医療機関3,086ヶ所中、638ヶ所で地震・火災の被害が想定
厚生労働省研究班の調査によれば、首都直下地震で、地震や火災の被害を受け、病院機能を失う医療機関は3,086ヶ所中、約2割の638ヶ所に上ることが推定されています。これにより、使用不能になる病床数は約4万9000床です。
災害拠点病院については、141ヶ所中8ヶ所が被災、約3700床がその機能を失うことが推定されました。
さらに道路被害もあわせれば、患者さんの受け入れ可能な箇所は19ヶ所減り、122ヶ所に。重症患者に対応できる集中治療室については約1200床になる見通しです。
災害拠点病院のみに頼らない受け入れ態勢の整備を
このような災害拠点病院への被害予測状況から、災害拠点病院に頼らず、入院中の患者を他施設に移すなど、近隣病院と連携して患者の収容、治療に当たる態勢の構築が改めて提言されました。また、被害が予想される病院については、あらかじめ患者さんの搬送計画を策定するなどの必要性も出てきます。
首都圏一都三県において、予測される重症患者は約3万人とされており、道路状況や火災などで、従来とは異なる環境下でどのように対応するかは、十分な備えが必要になります。
大地震時に医療機関で起きる状況と、東京都の対応策
東京都によれば、大地震時の病院では、次のような状況に陥ることが予想されています。これは、過去の大規模地震で実際に起きたケースを元に出されたものです。
- 1.指揮命令系統の混乱
- 2.建物の損壊による使用制限
- 3.ライフライン断絶による建物機能の停止
- 4.人員・医療資器材の不足
- 5.帰宅困難者の発生
- 6.通信手段断絶による情報の不足
東京都は、このような状況の中でも医療を提供し続けるための「BCP(事業継続計画)のガイドライン」を策定しています。このガイドラインに基づき、各医療機関がBCP策定を策定し、独自の体制を整えることを呼びかけています。
また、具体的な対応策として東京都は「首都直下地震等対処要領」(PDF)を策定しており、医療救護部門においては、東京DMAT・都医療救護班などの医療救護活動や、地域医療搬送・広域医療搬送、医療物資の調達などの細かな対処要項を定めています。
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