錠剤中にセンサー内蔵の「デジタルメディスン」で服薬アドヒアランスが上がる?

【ナース知っ得ニュース 2015/09/16】

 

錠剤の薬の中に、シリコン製のセンサーチップを内蔵する「デジタルメディスン」の新薬承認申請が、米国FDAによって受理されました。服薬時刻や患者の身体情報などを記録することで、服薬アドヒアランスを向上することが狙いです。

 

センサー内蔵の錠剤「デジタルメディスン」が登場(日経デジタルヘルス)

 

胃の中から情報を送信する「デジタルメディスン」

9月11日に新薬承認されたのは、大塚製薬の抗精神病薬「エビリファイ錠」にアメリカのプロテウス社が開発した約1mm角のセンサーチップを内蔵したものです。

 

この錠剤を飲みに達すると、身体に身に付けたパッチ型の端末に、体内のセンサーから信号が送られます。パッチ型端末に送られた情報は、スマートフォンやタブレットに送信することができます。情報の内容は、服薬時刻や身体の傾き・活動量などの身体情報など。この情報は、患者の同意のもと、医師や看護師が参照でき、患者に適した治療法の選定を行うことができます。

 

薬の飲み忘れや飲まなくなる問題を予防

このデジタルメディスンの開発意図は、主に服薬アドヒアランスの向上にあります。今回センサーが内蔵された抗精神病薬は、特に長期に渡る服用が必要になるため、薬を飲まなくなる、飲み忘れるなどの問題が起きています。患者の服薬状況や身体状態を、センサーからの情報によって正確に把握することで、患者が規則正しく服用し、再発リスクを避けることができます。

 

また、患者の服薬パターンやライフスタイルなどの、日頃の活動状況を知ることもできるため、個々人にとって最適な薬の処方が可能になるといわれています。

 

飲み忘れをテクノロジーで解決する策は他にも

精神疾患だけでなく、その他の慢性疾患や自宅療養している患者にとっても、服薬忘れや過重服用などの問題があります。これによる症状の悪化や治療費の高騰などを防ぐために、この他にも、様々なテクノロジーを用いた施策が行われています。

 

スウェーデンの会社では、錠剤服用の状況を、自動記録・モニタリングするソリューションを開発し、2014年に実証実験を行っています。錠剤のパッケージに施された回路が、錠剤がパッケージから取り出されたことを検知することのできる仕組みになっており、検知後は、そのまま看護師などの医療チームへショートメッセージとして送信可能。患者の服薬のタイミングを知ることができます。

 

(参照)

「飲み込むチップで医療費のムダを削減」、Proteus Digital Health社CTOが講演

錠剤服用を自動記録、医薬品パッケージの実証実験が始まる(日経デジタルヘルス)

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