女子刑務所へ看護師派遣を拡大―常に定員オーバー、刑務官の3割が3年で離職・・・女子刑務所の処遇改善に

法務省は地域の看護協会や助産師協会と連携し、女子刑務所の処遇改善にむけて、取り組みを広げることを決めました。妊産婦や更年期など女性特有の健康問題を解決するとともに、慢性的な人手不足に悩む女子刑務所の処遇を改善することが狙いです。
女子刑務所は全国に9か所あります。
男性服役者の人数は減少していて約5万人(2013年)で、5年前と比べて1万人以上減っています。一方で女性服役者の数は4,500人前後と、実数では男性より少ないものの横ばいが続いています。
女性刑務官3年未満の離職率が3割超! 過酷な労働環境も
このため、9か所の女子刑務所は、慢性的に定員オーバー状態で、環境の改善が必要になっています。さらに妊産婦や高齢者、更年期障害など女性ならではの課題もあります。心身に何らかの疾患をもつ女性服役者は、全体の7割近くを占めるとのデータもあります。また、性的被害者や摂食障害などの問題を抱えている受刑者もいます。
女性服役者に医療上の課題があると同時に、過酷な労働環境のために女性刑務官の人手不足が続いています。若手刑務官が高齢の受刑者に指導するのは難しいですし、交代制で24時間の管理が必要なため休みが取りにくく、3年未満の離職率は3割以上で、男性刑務官と比べると倍です。
看護師、助産師による健康指導を強化
そこで法務省は、女性服役者の医療環境を改善し、同時に刑務官の人手不足を補うために、地域の看護協会などと連携し、刑務所への看護師や助産師派遣を強化します。
看護師などを非常勤職員として刑務所に招き、受刑者に対する健康管理指導や個別面談、更年期障害の相談、子どもをもつ受刑者を対象とした母親教室の開催などを予定しています。
全国9か所の女子刑務所に拡大
すでに佐賀、栃木、和歌山の3県でモデル事業を始めているほか、2017年度までに残りの6か所の刑務所にも拡大する計画です。
受刑者の社会復帰は男女問わず大きな問題です。しかし女性服役者に特有の課題として、犯行時にほとんどが無職ということがあり、社会復帰に向けた支援策が求められています。
(参考) 法務省
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