【生成AI×看護師】ChatGPTで業務の負担は減らせるの?~教えて!大塚先生&かげさん

ChatGPTなどの生成AI。今では私生活から仕事まで、いろんな場面で活用している人が増えましたね。

 

看護師のみなさんはどのくらい使っていますか?

 

「使ってみたいけどなんか難しそうだから一歩が踏み出せない」

 

「ちょこちょこ触ってはいるけど便利な使い方がよく分からない」

 

「そもそも看護師が仕事で活用するのはやっぱよくない…!?」

 

こんな思いや疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで!病棟看護師の経験がある看護roo! 編集部のフジモリがみなさんに代わって、活用方法を調査してきました!

 

お話を聞かせてくださったのは、看護師のためのChatGPT入門本を発売した医師の大塚篤司先生と看護師のかげさんのおふたり。

 

看護師にとって役立つChatGPTの使い方について語っていただきます!

 

『おーつか先生&看護師のかげさんの ChatGPT入門』(2025/7/28発売)

大塚篤司 / かげ 著、医学書院

『おーつか先生&看護師のかげさんの ChatGPT入門』のカバー写真。

プロフィール
大塚先生プロフィール

大塚篤司X

皮膚科医。数々の医師向けのChatGPT解説本を出版し、医療界のAI伝道師「おーつか先生」としても知られる。

かげさんプロフィール

かげX

現役病棟看護師。かわいい医療イラストなど看護師にまつわるコンテンツをSNSや書籍で発信する。おーつか先生にChatGPTの使い方を教わり、業務でも活用。

フジモリプロフィール

フジモリ

看護師として循環器・救急の病棟・外来での勤務を経験。現在は看護roo!の編集担当。ChatGPTは超初心者で、「どうやって使うのこれ…?」と首をかしげながら格闘中。

まずはとりあえず使ってみよう!

フジモリのアイコン

ChatGPTってまずはどんな使い方から始めてみるのがいいんでしょう?

 

使えるようになったら便利なんだろうなとは思うんですが、どういう使い方が正しいんだろうとかって考えていると結局使うことをためらいがちで…

 

おーつか先生のアイコン

僕がみなさんにおすすめしているのは、何かを調べようとしたとき、Google検索や本の代わりにChatGPTを使ってみるってことです。

 

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ChatGPTで調べ物をするんですね。

 

おーつか先生のアイコン

そうです。今はすごく精度が高いので、かなりまとまった良い回答が出てきますよ。

 

「総理大臣は誰?」みたいな「一問一答」はGoogleでいいかもしれませんが「◯◯について詳しく説明して」みたいに回答が文章になりそうなものはChatGPTに聞くといいですよ

 

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なんかちゃんとした指示を出さないとダメなのかなと思って手が出なかったけど、友達と話すくらいの感覚でもいいんですね!

 

おーつか先生のアイコン

とにかく最初はプロンプト(AIへ指示するための文章)なんて気にしないで、思ったことをそのまま入力しちゃえばいいです。打つのが手間だったら音声入力も楽ですよ。

 

私もおーつか先生に習い始めたばかりのときは、いざ使ってみようと思っても何を打ち込んだらいいのか分からなくて固まっちゃいました。

 

けど今は「違うよ、そうじゃなくて」とか「そうそう!そんな感じ」みたいに気軽に会話しながら欲しい答えが出てくるように調整してます

 

おーつか先生のアイコン

最初から完璧な使い方はできないですから、徐々に仲良くなるみたいな意識でいいんです。かげさんは好きなキャラクターを憑依させて使っていましたよね。

 

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キャラクターを憑依!?

 

ソーシャルゲームの推しキャラクターになりきって答えてもらうようにしてるんです(笑)

 

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へー!そんなことできるんですね!

 

けど病棟で使うときはそのキャラ出されちゃうと人に見られたとき恥ずかしいんで、「先輩」って呼びかけた後の回答だけそのキャラになるように指示してます!

 

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それ楽しそうですね(笑)なんか「親友」みたいになれそうです。私だったら推しのアイドルの〇〇くんに成りきってもらいます!!

「皮膚のバリア機能について詳しく教えて」とChatGPTに聞いたときの回答例を示した図表。おーつか先生が「友達と話すみたいに気軽に使ってみよう!」とアドバイス。

看護師こそGPTをどんどん使うべき!

おーつか先生のアイコン
ChatGPTって新しいことを学ぶときの取っ掛かりとして、本当に優れているんですよ。

 

だから看護師さんこそChatGPTをどんどん使っていくべきだと思っています。看護師さんってぜんぜん違う分野の勉強が必要になったり、1から勉強し直したりするケースがかなり多いじゃないですか。

 

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他部署に異動になったときやプリセプターなどの教育係になったとき…改めて知らないことを学ぶのは大変です。

 

おーつか先生のアイコン

そういう学習って結構ハードル高いですよね。教科書読むにしても、そもそもどこから手をつけたらいいか分からないみたいな。

 

そうですね。しかも書店とかで本を探すところから始まるので、勉強を始める前にも手間がかかります。

 

「勉強しなきゃ」ってなってから取り掛かるまでに時差があると、だんだん熱量が下がってしまう現象が発生しますよね…。

 

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うわあ、あるあるですね。せっかく本を買ったのに一度も開かないみたいなことが何度もありました(笑)

 

おーつか先生のアイコン

けどChatGPTって「褥瘡を効率よく学ぶ方法は?」とかって聞くと、学習すべき要点を整理して学習計画を立ててくれるんですよ

 

あと、分からない専門用語が出てきてもその場ですぐに分かりやすく説明してくれる。もちろん、その後に教科書とかで確認する必要はあるんですが、一旦イメージを掴んでから教科書を読んだほうが理解しやすくなりますよね。

 

勤務中とかスキマ時間で勉強ができるので、明らかに負担が減りました

 

今は新人指導でも活用していて、その場で勉強項目を洗い出して「これを調べておいてね」って指導につなげられるので効率化できてます。

 

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めっちゃ便利そうです。自分から学びたいときだけでなく、指導する側でも活用できるのは役立ちますね。

 

おーつか先生のアイコン

スムーズに学習に入れるって結構いいポイントですよね。ただ、おすすめしてくる書籍や問題集には注意が必要です。実在しないことがあるので…。

 

ChatGPTを日常的に使っていると、感覚として回答の9割以上は正確なんですが、たまに間違っているのが厄介な点です。高度な専門知識や数字は苦手なようなので裏取りしましょう特に患者さんに関わる場合は絶対です

「褥瘡を効率よく学ぶ方法は?」とChatGPTに質問した際の回答例を示した図表。おーつか先生が「勉強の導入として使ってみよう」とアドバイス。

GPTで患者さんへの説明資料をブラッシュアップ!

業務では、患者さん向けの簡単な説明資料をブラッシュアップするのに役立ちましたよ

 

自分たちでつくると医療の専門用語をついそのまま書いちゃって、患者さんにとっては難しくなっちゃうことってあるじゃないですか。ご高齢の方だとそもそも「字が小さくて読めない」とか言われちゃって。結局、口頭で気合で説明するみたいな(笑)

 

フジモリのアイコン

ありますね~(笑)

 

けどChatGPTにお願いすると、資料をご高齢の方やお子さんでも分かりやすいように調整してくれんです

 

おーつか先生のアイコン

文章の難易度を上げたり下げたり、文章を長くしたり短くしたりとかは非常に得意分野ですからね。

 

患者さん1人に使える時間が限られている中で、患者さんへの説明資料をつくる時間を短縮できれば患者さんに接する時間を増やせるので患者さんにとってもプラスだなって

 

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たしかに!効率化できた分、患者さん1人1人に沿った個別的な看護ケアをする時間が増やせたら理想的です。

 

私の病棟では今、もともとある患者説明用紙をChatGPTに渡してレベルアップするって作業をちょっとずつ進め始めてます。

 

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資料づくりやアップデートってなかなかハードルが高くて誰でも取り組めるわけではないので、ChatGPTのおかげで取り組む人が増えればよりいいですね。

 

もちろん出来上がったものに間違いがないかとか、内容を精査するためには引き続き専門知識や看護師としての経験が必要なので、そこは腕の見せどころだと思います。

 

そういう面では新人さんにはちょっと難しいかもしれません。

 

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ChatGPTにイチから資料を作ってもらうのはまだ難しいんですかね?

 

おーつか先生のアイコン

できるんですが、なんか温かみがないというか単調というか、面白みのない役所の資料みたいなのが出来上がることが多いんですよね。

 

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なるほど…じゃあ最初から丸投げするのは微妙なんですね

 

おーつか先生のアイコン

イメージしている資料の骨組み部分は自分でつくって、そこからAIに改善点とかを出してもらいながら肉付けしてもらう方が基本的には良い資料になります。

「アトピー性皮膚炎について、小学校低学年向けに説明して」とChatGPTに質問したときの回答例を示した図表。かげさんが「文章の難易度を調整してもらおう!」とアドバイス。

GPTって看護記録には使えるの?

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看護roo!のアンケートでは、「AIが導入されたら負担がラクになりそうな業務」として、看護記録と答える方が最も多かったのですが、かげさんの病棟でChatGPTを看護記録に活用している例ってありますか?

 

例えば、SOAPの文章がごちゃごちゃしてしまった時に、ChatGPTに頼んで、要点が整理されたきれいな文章にしてもらうのはどうですか?

 

いつかAIにおまかせ!?”な看護師の仕事って?|看護師の本音アンケート

 

今の現場では看護記録を書くのに直接的にChatGPTを使用しているということはないですね。

 

私のところでは新人さんの場合、SOAPをパソコンに入力する前に書く内容を指導係の先輩と口頭ですり合わせするので、新人さんもあまり困ってないんですよね。

 

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へー!手厚い(笑)

 

そうなんですよ(笑)

 

あとChatGPTに頼る場合、患者さんの個人情報をChatGPTにいれてしまわないように入力内容を取捨選択しなければいけないので、先輩に相談したほうが早いというのもあるんだと思います。

 

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そうですね。ChatGPTを使う上で患者さんのプライバシー保護は徹底する必要があります

 

ただ、看護記録にそもそもどんな内容を書けばいいかわからないときは役立ちます。

 

例えば、新人さんがそもそも疾患が分かっていないときとかに2人でChatGPTを使って調べて、「この疾患はこういう治療をするから、この観察ポイントも見てカルテに記載しておいたほうがいいよね」って指導するみたいな。

 

看護計画を立てる上でおさえるべきポイントを整理するのにも使っています

 

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なるほど。すごく便利そうです。

 

負担を減らして看護を好きになるために

フジモリのアイコン
お二人は先日、『おーつか先生&かげさんのChatGPT入門』を発売されたわけですが、どんな思いを込められたのか最後にうかがっていいですか?

 

おーつか先生のアイコン

看護師さんがChatGPTを活用できれば、業務の負担をもっと軽減できるのではないかと思っています

 

看護師さんの間ではまだあまり浸透していないと思いますが、「難しそう」「自分には関係ない」とこれまで全く触れてこなかった方が、本をきっかけに抵抗感をなくして、スマホを使うように自然にChatGPTを使ってくれるのが目標です。

 

ChatGPTを使うようになってから仕事が効率化されて、患者さんのベッドサイドにいる時間を増やすことができました。

 

本を読んでくれた方の負担が少しでも減って、患者さんにかけられる時間が増えることで看護師の仕事をより好きになってくれたらうれしいです!

 

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ただ「ラクをしたいから」ではなく、AIに任せられる部分は上手に頼ることができれば、その分患者さんと接する時間が増えて看護の質をより高めることができる。そういう向き合い方が大切だと、本日のお二人のお話を聞いていて感じました。

 

本日はありがとうございました!
 

 

取材・編集/看護roo!編集部 藤森実佳・北井寛人

 

 

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