最終更新日 2019/05/14

呼吸運動

呼吸運動とは・・・

呼吸運動(こきゅううんどう、breathing movement)とは、外界の空気を肺に取り込んだり、排出したりするために、肺の拡張・収縮を行うことである。
肺は、胸壁内腔を覆う壁側胸膜と肺を包む肺胸膜という2つの膜で覆われており、両膜の間は陰圧なので、胸郭や横隔膜を動かすことによって受動的に肺の拡張・収縮を行うことができる。

【分類】
呼吸運動は、空気を肺に取り込む吸息運動と空気を排出する呼息運動に分かれる。
通常の安静時呼吸では、横隔膜が呼吸運動の大部分を担う。換気量が増大し、強制的な呼吸が必要となった場合には外肋間筋、内肋間筋などの呼吸筋も同時に働く。
■吸息運動
安静時は、横隔膜と外肋間筋の収縮によって横隔膜が下がり胸郭を広げ、胸腔内容積を増大することにより肺を拡張し、空気を肺内に流入させる。一方、強制的な吸息運動が必要となれば、副呼吸筋として胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋が働く。
■呼息運動
安静時は、これら吸息筋活動が停止し弛緩することによって、肺と胸郭の弾性によって元の状態に戻ることで行われる。一方、強制的な呼吸が必要となれば、内肋間筋が収縮することによって胸郭を小さくし、また、腹壁筋の収縮により横隔膜が挙上することで胸腔内容積を縮小させる。この時、拡張した肺自体も縮小しようとするので、肺が収縮して空気が排出される。

【腹式呼吸と胸式呼吸】
腹式呼吸は、横隔膜によって胸郭を上下に動かし、体積を増減させる呼吸である。一方胸式呼吸は、横隔膜に肋間筋が加わり、胸郭を上下のほか前後左右にも動かして体積を増減させる呼吸である。実際の呼吸では2つの呼吸法を同時に行っており、安静時には腹式呼吸が優勢であるが、運動時には胸式呼吸も加わる。

執筆: 江角 亮

三重大学医学部附属病院 救命救急センター医員

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