最終更新日 2019/02/12

減感作療法

減感作療法とは・・・

減感作療法(げんかんさりょうほう、hyposensitization therapy)とは、アレルギー疾患において病因アレルゲンを徐々に増加させながら生体内に投与することで、アレルゲンに対する生体の免疫反応を修飾する治療法である。アレルゲン免疫療法とも言う。

現在、アレルギー性鼻炎結膜炎や気管支喘息、ハチによるアナフィラキシーなどを対象に行われており、食物アレルギーに対しては研究段階である。

【方法】
減感作療法は主に2種類ある。

(1)アレルゲンワクチンを漸増しながら皮下注射する方法(SCIT:subcutaneous immunotherapy)
(2)アレルゲンの錠剤を舌下面において口腔粘膜から吸収させる方法(SLIT:sublingual immunotherapy)

日本では、(1)の皮下注射と(2)のスギとダニに対して保険適応となっている。皮下注射では、皮内反応閾値濃度から10倍希釈されたものを少量ずつ漸増させながら投与し、維持量に到達したところで数年におよび継続投与する。

【作用機序】
減感作療法の作用機序としては、アレルゲンによる感作によって、アレルゲン特異的IgG4抗体の産生を誘導して気道過敏性の改善に関与したり、Th2細胞の局所集積が抑制され、アレルギー反応をおこすサイトカインの産生が減弱したりする。

【メリット】
・長期間にわたる寛解・治癒が期待できる。

【デメリット】
・効果が現れるまでの期間が長い
・継続して治療を行う必要がある
・全身性アナフィラキシーが生じる可能性がある(特にSCITにおいて)

【今後】
アレルゲンの投与ルートの簡便化や安全性の向上、諸外国では一般臨床に利用されている舌下免疫療法の普及などが望まれる。

現在、SCITの実施は減少しており、代わりにダニとスギに対するSLITが広く行われるようになった。今後は海外のように複数の抗原に対するSLITの開発が望まれている。

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