最終更新日 2018/02/21

アレルギー

アレルギーとは・・・

アレルギー(あれるぎー、allergy)とは、免疫反応の結果もたらされる生体の傷害のことである。

免疫とは、異物(非自己)を識別して攻撃し排除する防御システムである。例えば、体内に侵入した微生物(ウイルスや細菌)を識別して攻撃し生体を感染から守るシステムとして機能している。その免疫反応が生体に対して不利に働き、生体が障害される場合をアレルギーという。アレルギーは、本来排除不要な食物や花粉等に対して過剰に反応するため問題となる。アレルギー疾患は近年増加している。

アレルギー反応にはさまざまなものがあり、1963年にCoombsとGellが提唱した4つの分類法(I~IV)が、現在でも広く用いられている。症状発現までの時間でみると、I型は即時型アレルギーであり、Ⅳ型が遅延型アレルギーに属する。また。I~III型は液性免疫(抗体・免疫グロブリン)が関与し、Ⅳ型のみ細胞性免疫が関与する。

■I型アレルギー
I型アレルギーの発生は、「感作」と「誘発」の2段階に分けられる。「感作」とは抗原に特異的なIgE抗体がつくられることであり、「誘発」とは抗原抗体反応によって症状が生じることをいう。I型アレルギー反応を起こすような抗原を「アレルゲン」と呼ぶ。誘発反応時間は15~30分と短く「即時型アレルギー」とも呼ばれる。
主な関連疾患:蕁麻疹食物アレルギー、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎アナフィラキシーショック

■II型アレルギー
抗体(IgG抗体・IgM抗体)が自己の細胞に結合することで、補体の活性化やマクロファージによる貪食などを引き起こし、細胞を傷害する。「細胞障害型アレルギー」とも呼ばれる。
主な関連疾患:自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グッドパスチャー症候群、Rh不適合妊娠、慢性甲状腺炎、バセドウ病

■III型アレルギー
抗原と抗体(IgG抗体・IgM抗体)が結合したものを免疫複合体という。免疫複合体が組織に沈着した結果、補体や好中球が活性化し組織傷害を引き起こす。「免疫複合体型アレルギー」とも呼ばれる。
主な関連疾患:血清病、全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)、急性糸球体腎炎、過敏性肺臓炎、アルサス反応

■IV型アレルギー
抗原を記憶した感作T細胞が再び同じ抗原に刺激されると、サイトカイン等の産生を介して細胞性免疫を誘導し、組織障害や肉芽腫形成を起こす。I~III型アレルギーが液性免疫であるのに対し、Ⅳ型アレルギーは細胞性免疫がかかわり、リンパ球の集合・増殖・活性化などに時間が掛かるため、遅延型アレルギーと呼ばれる。
主な関連疾患:接触性皮膚炎移植片対宿主病(GVHD)、結核(ツベルクリン反応)

執筆: 佐々木 朗

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター小児救急フェロー

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