最終更新日 2018/04/18

APC

APCとは・・・

APC(えーぴーしー、adenomatous polyposis coli)遺伝子は大腸癌の発症に関わる重要な遺伝子として知られており、がん抑制遺伝子の一つである。また、家族性大腸腺腫症の原因遺伝子とされている。

【多段階発がんとがん抑制遺伝子】
多段階発がんとは正常な細胞に複数の遺伝子異常が重なることで、段階的に正常な細胞ががん細胞化していくという考え方である。発がんに関与する遺伝子異常は、がん遺伝子とがん抑制遺伝子の二種類に生じる。がん遺伝子は細胞を増殖させるアクセルのような働きをし、がん抑制遺伝子は細胞分裂を停止させるブレーキのような働きをしている。これらの遺伝子異常が積み重なることで、がん細胞化し異常な分裂を繰り返すと考えられている。
これまでの研究からいくつかのがん抑制遺伝子が発見されており、p53遺伝子、RB遺伝子、APC遺伝子が代表的である。それぞれ細胞死の誘導、細胞増殖の抑制、DNAの修復において重要な役割を果たしていることが分かっている。

【APCと大腸癌】
大腸癌における腺腫-癌連関とは、複数の遺伝子異常が重なることでがん細胞が発生するという多段階発がんの考え方である。まずがん抑制遺伝子(ブレーキ)であるAPC遺伝子の異常が生じることで腺腫が発生し、K-rasという癌遺伝子(アクセル)とp53というがん抑制遺伝子(ブレーキ)の異常が重なることで、最終的に癌が発生するとされている。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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