フットケア(足病変の観察~爪切り)

【監修】

中島恵美子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)

 

【執筆】

量 倫子 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)

 

「フットケア(足病変の観察~爪切り)」の目的

●糖尿病患者さんは末梢血管障害、神経障害があると足病変を合併しやすく、感染を契機に急速に足病変が進展しやすいため、足病変の予防と早期発見のために観察を行う
●爪が伸びていたり、巻き爪などの爪の変形があると、周囲の組織や隣の足趾、爪床を圧迫し、足病変のリスクが高まるため、正しく爪を切ることによって足病変を予防する

 

「フットケア(足病変の観察~爪切り)」の禁忌

●足病変の観察をおこなう上での禁忌はないが、爪切りは重度の足病変がすでに生じている場合は、専門の医師に任せる

 

「フットケア(足病変の観察~爪切り)」の必要物品

処置用シーツ プラスティックエプロン ビニール袋 マスク 手袋 爪やすり 爪切り ニッパー 鑷子(消毒綿球を使用する場合) 固定用テープ 消毒綿(アルコール綿) 膿盆 ガーゼ

  • 処置用シーツ
  • プラスティックエプロン
  • ビニール袋
  • マスク
  • 手袋
  • 爪やすり
  • 爪切り
  • ニッパー
  • 鑷子(消毒綿球を使用する場合)
  • 固定用テープ
  • 消毒綿(アルコール綿)
  • 膿盆
  • ガーゼ

 

「フットケア(足病変の観察~爪切り)」の準備

(1)患者さんに足の観察をし、爪切りをすることを伝え、靴と靴下を脱いで、臥位をとってもらう

 

(2)看護師は手を事前に温めておく

 

(3)足にしびれや疼痛、掻痒感、違和感、冷感などがないかを確認する

 

(4)足底を観察する。趾の形状、外反母趾や内反小趾、クロウトゥ(鷲爪)やハンマートゥ(槌爪)、足底のアーチの形状、特に扁平足などの有無を見る

 

(5)足背を観察する。手で足底を触りながら皮膚の温度や胼胝、鶏眼などがないか、乾燥や亀裂がないか確認する

 

(6)趾間を観察し、皮膚の剥離・白癬(はくせん)の有無を確認する

 

(7)動脈を触知し、血液の状態を確認する

 

「フットケア(足病変の観察~爪切り)」の実施手順

(1)爪切りを行うことを患者さんに説明する

 

(2)ケア前にエプロン・グローブ・マスクを装着し、患者さんの足の下に、処置用シーツを引く

 

ポイント

ケア時の看護者の姿勢は患者さんの対面に位置し、自分が移動しながらケアする
患者さんの足部は、やや底屈位で安定させる

 

(3)消毒綿で、指と皮膚との間にたまった角質(あか)を取り除く。お湯に濡らしたガーゼもしくは消毒綿で爪を丁寧に拭く

 

(4)利き手ではない手で、切る爪の趾間を広げ趾を固定する

 


(5)刃先1/3を使用して少しずつカットしていく

 


(6)爪の長さは足趾の先端に平らな物をあてた時わずかに触れない程度にする

足趾の先端にわずかに触れない程度にカットする

 

(7)爪はまっすぐにカット(スクエアカット)し、両端を角の部分をごくわずかだけ切り落とす(スクエアオフ)

 

(8)爪を切ったら断面がなめらかになるようにやすりをかける

ポイント

爪やすりは、削る指に対して直角に当てて使用する
爪の左右両端から爪の中央に向かって一方向に削る(往復がけはしない)

 

(9)手で患者さんの爪先をなでるように触りながら、ひっかかるところがないかを確認する

 

(10)やすり掛けででた爪の粉は濡れガーゼで拭き取る

 

(11)最後に、患者さんへ爪切りが終了したことを伝える

 

【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)

【引用・参考文献】

(1)宮地義明、真田弘美、大江真琴(編集):最新版 ナースのための糖尿病フットケア技術,メディカルビュー,東京,2014.
(2)日本糖尿病教育・看護学会(編):糖尿病看護フットケア技術 第3版,日本看護協会出版会,東京,2013.
(3)日本フットケア学会(編):はじめよう!フットケア 第3版,日本看護協会出版会,東京,2013.
(4)瀬戸奈津子(編集):カラー写真とDVD動画であなたもアセスメント名人! 糖尿病フットケア完全マスター,メディカ出版,大阪,2009.
(5)中西健史(著):はじめてのシリーズ はじめてのフットケア,メディカ出版,大阪,2012.
(6)羽蔵稜子(編)他:ナースがおこなう糖尿病フットケア,南江堂,東京,2006.

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