2016年04月18日

経口与薬


【監修】

山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)

 

【執筆】

加治美幸(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)

監修者・執筆者・監修大学についての詳細

 

「経口与薬」とは

薬物を経口的(口から)に投与する与薬方法のこと

 

「経口与薬」の種類

  • 内服薬:薬物を経口的に投与し消化管を通して吸収させる薬
  • 口腔内薬口腔粘膜から直接全身循環に吸収させる薬

 

「経口与薬」の禁忌

(1)意識障害や嚥下機能障害のある患者さんの経口与薬は禁忌誤嚥の可能性があり危険である)

(2)頻回な嘔吐のある患者さんの場合は、医師と相談する

 

「経口与薬」の必要物品

  • 指示書
  • 指示された薬剤
  • 水(または微温湯)
  • コップ(または吸いのみ)
  • 廃棄物入れ(ビニール袋や膿盆)
  • (必要時、薬杯・オブラート・スプーン・はさみなど)

 

「経口与薬」の準備

(1)指示書の記載内容や、医師から患者さんへの説明内容を確認する

根拠「なぜ医師からの説明を確認するの?」

患者さんに経口与薬の説明をするため、「医師の説明内容」と「患者さんの反応」を事前に知っておく

 

(2)医師による与薬指示が患者さんに適しているか、アセスメントする

アセスメント項目

  • 患者さんの状態
  • 過去の副作用の有無
  • 薬剤の用法・容量・作用・副作用

(3)6Rを確認し、トレイに必要物品を準備する

■誤薬防止のため6R(Right)

  • 正しい患者(氏名、部屋番号など):Right Patient
  • 正しい薬剤:Right Drug
  • 正しい量:Right Dose
  • 正しい方法:Right Route
  • 正しい時間:Right Time
  • 正しい目的:Right Purpose

 

(4)衛生的手洗いをする

 

(5)患者さんの本人確認を行い、経口与薬の目的と方法を説明し、同意を得る

ポイント

服薬アドヒアランスを高めるために、患者さんに「目的」「用法・用量」「作用」「副作用」などをしっかり説明する

 

「経口与薬」の実施

(1)患者さんの姿勢を座位もしくはファーラー位にする

ポイント

誤嚥をふせぎ、飲み込みやすい姿勢をとる

※座位がとれない場合は、顔を横に向かせて頭部を支えて拳上するか、側臥位とする

 

(2)コップまたは吸いのみに、水(または微温湯)を準備する

※注意事項※

水や微温湯以外の飲み物での服用は、作用の阻害や増強をひき起こすことがある

※内服薬は中性(pH7)の水で飲むことを前提に製造されている

 

(3)錠剤を包装からとりだす

■錠剤別・取り出し方のポイント

  • 錠剤が複数個ある場合:転がり落ちないよう薬杯に入れる
  • 散剤の場合:薬包紙を服用しやすい形にはさみで切る
  • 液剤・シロップ剤の場合:静かに混和させてから薬杯に入れる
ポイント

液剤やシロップ剤は保管中に分離や沈殿をすることがあるので、与薬直前に混和する

※激しく混和させると泡立ってしまい、正しく計量できなくなる

 

(4)口腔内に薬剤を入れる

ポイント

内服薬は、舌の中央あたりにのせる

錠剤のタイプ毎のポイント

  • 散剤の場合:オブラートを使用すると口腔内に付着したり、分散したりするのを防ぐことができる
  • 舌下錠の場合:舌の下面に置き、溶けるまで保持する
  • トローチの場合:舌の上にのせ、飲み込んだり噛んだりせずに、舐めながら徐々に溶かす
  • バッカル錠の場合:歯肉と頬の間に挟み、飲み込んだり噛んだりせずに唾液で自然に溶かす

 

(5)患者さんに、内服薬を水(または微温湯)で飲み込むように促す

ポイント

水分が少ないと咽頭や食道に薬剤が残って、食道炎や食道潰瘍などを発症することがある

 

(6)患者さんが薬剤を服用できたか確認する

※必要時、患者さんの口腔内を観察し、口腔内に薬剤が残っていないか確認する

 

「経口与薬」の実施後

(1)患者さんに終了したことを伝え、患者さんの状態や副作用の有無などを確認する。体位を整え、ナースコールを手元に置いて退出する

 

(2)物品をもとの場所にもどし、ゴミは決められた方法で廃棄する

 

(3)6Rを確認し、薬袋を所定の位置にもどす

■誤薬防止のため6R(Right)

  • 正しい患者(氏名、部屋番号など):Right Patient
  • 正しい薬剤:Right Drug
  • 正しい量:Right Dose
  • 正しい方法:Right Route
  • 正しい時間:Right Time
  • 正しい目的:Right Purpose
ポイント

液剤やシロップ剤には、冷所保存が必要なものもあるため適切な保管方法を確認する

 

(4)薬剤、量、方法、部位、時間、患者さんの状態と薬の効果・副作用などを記録し、サインする

※経口与薬による効果を確認し、副作用の早期発見に努める
※実施者の責任を明確にするためにサインを行う

 


【引用・参考文献】

(1)栗原博之(執筆):看護技術がみえるvol.1 基礎看護技術.メディックメディア,東京,2014:215-223.
(2)小林優子 他(執筆):系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護技術Ⅱ 基礎看護学③.医学書院,東京,2013:277-280.
(3)阪本みどり(執筆):新体系 看護学全書 基礎看護学③ 基礎看護技術Ⅱ.メヂカルフレンド社,東京,2013:253-258.
(4)山内麻江 他(著):看護で役立つ診療に伴う技術と解剖生理.丸善出版,2014:4-7.

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