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2019年02月07日

どうなる?10年以上ぶりの看護基礎教育の見直し|ナースのためのニュース解説

看護教育

 

厚生労働省の検討会で、看護基礎教育の見直しが議論されています。

 

在宅や施設など地域での看護のニーズが高まる中、これからの社会の変化に即した看護基礎教育の内容や方法を検討することが目的で、厚生労働省は改正省令など必要な手続きを踏んだ上で2022年度から新しい教育を開始する方針です

 

前回、教育内容が改正されたのは2008年でしたので、10年以上ぶりの改正となります。

 

今後の看護師のあり方が反映される看護師教育の改正。ナースとして知っておきたい、現在、進められている見直し議論のポイントを紹介します。

 

 

分野の統合などをワーキンググループが提案

検討会は2018年4月12日に発足しました。

 

検討会で検討事項を整理した上で、看護師、保健師、助産師、准看護師のそれぞれのワーキンググループで具体的な見直し議論が進められています。

 

看護師のワーキンググループはすでに8回開催されており、2019年1月30日に開かれた検討会で、これまでのワーキンググループでの検討状況が報告されました。

 

ワーキンググループが提示した教育内容の変更案は、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」の区分を一つにまとめて「専門分野」とするなどで、全体の単位数は1単位増の98単位、3000時間以上の時間数の制約は維持するというものでした。

 

看護師教育 教育内容の変更案/現行教育:97単位(3000時間以上)、変更案:98単位(3000時間以上)/「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」1単位増/専門分野Ⅰ、専門分野Ⅱ、統合分野をまとめ、専門分野に/在宅看護論を基礎看護学の次に位置付け/成人看護学と老年看護学の単位をくくる/臨地実習トータルの単位数23は維持(基礎看護学3以上、在宅看護論2以上、成人看護学・老年看護学4以上、小児看護学1以上、母性看護学1以上、精神看護学1以上、看護の統合と実践2以上)

第7回看護基礎教育検討会の資料を基に、看護roo!編集部で作成

 

 

分野を統合し、臨地実習の単位数は現状維持

具体的な見直し議論のポイントは、次の通りです。

 

看護師教育 おもな見直し議論/■「専門基礎分野」のうち「人体の構造と機能」および「疾病の成り立ちと回復の促進」を1単位増■「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」をまとめて「専門分野」に■「在宅看護論」を初期段階から教育をスタートする位置付けに変更■「成人看護学」と「老年看護学」の単位数をくくる■「臨地実習」のトータル単位数は、現状維持の23単位■「臨地実習」は、領域ごとに最低単位を示し、全体の23単位の中で各養成所で自由に設定できるように。

第7回看護基礎教育検討会の資料を基に、看護roo!編集部で作成

 

分野の統合は、現行教育では「統合分野」に位置付けられている「在宅看護論」を、在宅看護の重要性を踏まえ、生活者に対する看護という視点からすべての領域の根本にあると考え、初期の段階から教育をスタートさせるために「基礎看護学」の次に位置付けるという考えに基づくもの。

 

また、看護実践の基盤を学ぶ「専門分野Ⅰ」、対象の発達段階に応じた看護実践を学ぶ「専門分野Ⅱ」、より臨床に近い形で知識や技術を統合させる「統合分野」は、必ずしも順番に一方向的に学ぶものではなく、分野を往来しながら学ぶものであるという観点から、一つの分野にまとめることで、各養成所が理念や目標に合わせてカリキュラム編成をしやすくする意図もあると言います。

 

この点については、基礎から積み上げて統合するという流れで教育する現行分野を維持した方がよいとの意見もあり、今後の議論がどう着地するかが注目されます。

 

そのほか、高齢化に伴い成人看護の対象となる患者が減少しているため、対象患者が重なり合っている「成人看護学」と「老年看護学」を柔軟なカリキュラム編成が可能となるよう単位数をくくる病態生理や解剖生理、薬理学を充実させるために「専門基礎分野」のうち「人体の構造と機能」および「疾病の成り立ちと回復の促進」を1単位増やすなどの見直しが提案されました。

 

臨地実習については、全体の単位数は23単位と現状を維持しながらも、領域ごとに最低単位数を設定し、各養成所で領域ごとの単位数を設定できるようにする案が示されました。

 

その背景には、実習先の確保が難しいため、状況に応じてカリキュラムを組みやすくする狙いがあります。検討会の委員からは、「小児看護学」「母性看護学」「精神看護学」の最低単位数が1単位となっていることに対し、教育の質の低下を懸念する声が上がっています。

 

 

「在宅看護論」に「地域」の言葉を追加するべきか

ワーキンググループの見直し案を受け、検討会では複数の委員からさまざまな意見が出されました。

 

特に多かったのが、「在宅看護論」に対する意見。

 

ワーキンググループの見直し案では、学術体系への影響を勘案し、位置付けは変更するものの、「在宅看護論」という名称はそのままとする方針でした。

 

しかし、対象を地域で暮らす人々と広く捉えるという観点では、「地域」という文言を追加し、「地域・在宅看護論」という名称に変更した方がよいとの意見が複数の委員から上がりました。

 

 

単位数を増やすかどうかに、賛否両論

また、検討会の委員から賛否両論あったのが、全体の単位数が1単位増にとどまる点について。

 

「看護基礎教育のレベルを引き上げる方針に反している」

 

「前の改正から約10年たち、実地で学ばないといけないことは確実に増えているのに、臨地実習が増えないのはなぜか」

 

「臨床現場の新人看護師から、採血などテクニカルな面でもっと実習したかったという声がある」

 

「実習病院の立場から言わせてもらうと、これ以上単位数を増やせば、逆に実習施設の幅を狭めてしまうことにもつながる。現状維持を強く支持」

 

「単位数を増やすと、養成現場に大きな負担と混乱を招く」

 

おもに実習をどうするかの観点から意見が出され、増やすべきと考える委員と現状を維持するべきと考える委員が真っ向から対立しています。

 

 

今後の見直しスケジュール

今後、検討会では、2019年5月下旬までに報告書案をまとめる予定です。

 

教育内容以外にも、免許取得前に修得すべき到達目標と到達度の見直しなどの検討も進められています。

 

最終的にどのような見直し方針となるか、教育現場や実習先にどのような影響があるかが注目されます。

 

【坂本朝子(看護roo!編集部)】

 

 

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基礎教育4年制化の必要性 地域・在宅看護を視野に入れた教育へ|日本看護サミット2017

 

(参考)

看護基礎教育検討会(厚生労働省)

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コメント一覧(1)

1底辺だった看護師2019年02月09日 00時03分

採血などのテクニカル面とかは臨床にでてから嫌でもさせられる。それよりも、解剖と病態、薬理をしっかり頭にいれることが大事。それがないとアセスメント能力が身につかない

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