義歯の洗浄・取り扱い | 高齢者の口腔ケア

【執筆】

山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)

 

「高齢者の義⻭の取り扱い」の目的

●高齢者は唾液分泌量の減少により自助作用や抗菌作用が低下しているため、義歯の清掃が不十分だと、連鎖球菌やブドウ球菌などの常在菌の増殖の原因となる
●義歯の手入れは、口腔内の細菌量を減少させることを目的に行う

 

「高齢者の義⻭の取り扱い」の適応

●義歯には、食物残渣や歯垢、義歯の安定剤などの汚れが付着しているため、毎食後義歯用のブラシで洗浄することで取り除くことができる
●口腔内に細菌が繁殖することで、口腔内だけでなく口腔以外の臓器に繁殖し、全身性の疾患を引き起こすことが考えられる
●特に、細菌・食塊が気道に入ると、高齢者は誤嚥性肺炎に罹患する可能性が極めて高い状態となる

 

「高齢者の義⻭の取り扱い」の禁忌

●歯磨き剤の使用は、義歯を傷つけるため、用いないようにする
●義歯は、洗浄時熱湯を使用すると変形するため、水で洗浄する
●義歯は、乾燥させると変形やひびの原因になるため、義歯洗浄剤または水を入れた義歯専用容器に保存する

 

「高齢者の義⻭の取り扱い」の必要物品

ガーグルベースン 義歯保管容器 義歯洗浄剤 義歯専用歯ブラシ 消毒液 タオル ガーゼ マスク 手袋 エプロン ビニール袋 微温湯

  • ガーグルベースン
  • 義歯保管容器
  • 義歯洗浄剤
  • 義歯専用歯ブラシ
  • 消毒液
  • タオル
  • ガーゼ
  • マスク
  • 手袋
  • エプロン
  • ビニール袋
  • 微温湯

 

「高齢者の義⻭の取り扱い」の実施方法

(1)義歯をはずし、洗浄することへの同意を得る

 

(2)患者さんの上半身を挙上し、誤嚥を防止する体位にする

 

(3)微温湯を入れた水差しで、口をゆすいでもらう

 

(4)患者さん自ら義歯をはずせる場合は、取り外してもらう

 

(5)義歯はすべりやすく破損しやすいため、取り扱いには十分注意する

 

(6)義歯をはずした後、再び微温湯で口をゆすいでもらう

 

(7)水をはったガーグルベースンの上で、義歯をブラッシングする

ポイント

水をはったガーグルベースンの上で行うことで、万が一落としたときの衝撃を小さくし、破損を防止することができる

 

(8)義歯の変形をさけるため、水でブラッシングする

 

(9)上顎義歯は下向きに、下顎義歯は上向きにブラッシングする

 

(10)夜間は義歯をはずすように説明する

ポイント

夜間義歯をはずすのは、装着したままだと歯茎の粘膜を常に圧迫している状態になり、細菌や真菌類の刺激で粘膜の発赤、口内炎の原因になるため

 

(11)フタ付きの容器に義歯洗浄剤を入れて保管する

 

(12)洗浄剤を使用した義歯は、装着前に流水で洗浄する

 

(13)義歯保管容器は、患者さんがわかる場所に置く

 

(14)最後に、違和感などがないか確認する

 

【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)

【引用・参考文献】

(1)曽根千賀子(著):老年看護技術 アセスメントのポイントとその根拠,ヌーヴェルヒロカワ,2015:47-49.
(2)梶井文子(著):根拠と事故防止からみた 老年看護技術,医学書院,2012:108-110.
(3)鈴木小百合・戸田由美子(著):学ぶ・試す・調べる 看護ケアの根拠と技術,医歯薬出版,2014:85-95.
(4)上原朋子(著):ナーシング・グラフィカ  老年看護学② 高齢者看護の実践,メディカ出版,2016:63-68.

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