小児の気道確保
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児の気道確保について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
小沼貴子
練馬光が丘病院/小児救急看護認定看護師
患児の急変を発見し意識がない場合は、まず、呼吸状態の評価を行う。
乳児・小児ではお菓子や玩具の誤嚥による気道異物もみられ、反応がある場合はただちに背部叩打法を行う。
気道確保の目的
気道の閉塞を解除、もしくは予防する。
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気道確保の適応
気道の閉塞がある場合
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気道確保の手順
1 口腔内・気道異物除去法
口腔内異物除去法
母指と他の指で患者の舌と下顎をいっしょにつかみ、下顎を持ち上げる(図1)。異物があれば、指またはマギール鉗子で取り出す。
図1 口腔内異物除去法

反応がある患児の気道異物除去は、次のように行う。
乳児の場合: 背部叩打法、胸部突き上げ法を数回ずつ交互に行う(図2)。
図2 乳児の気道異物除去

小児の場合: 背部叩打法を行い、異物除去できなかった場合は、腹部突き上げ法を行う(図3)。
図3 小児の気道異物除去

2 用手的気道確保
頭部後屈-あご先挙上法
患児に頸椎損傷がないと思われる場合は、頭部を後屈させ、あご先を挙上して気道を確保する(図4)。
患児の前額部に片手を当て、もう片方の手指を下顎先端(オトガイ部)にかけて引き上げる。
図4 頭部後屈-あご先挙上法

下顎挙上法
転倒・転落など頸椎損傷が疑われる場合は、下顎挙上法で気道を確保する。
左右の小指を患児の左右下顎角にかけ、示指・中指・薬指を下顎骨縁に当てる。両手で同時に下顎を押し上げ、受け口になるまで挙上する(図5)。
図5 下顎挙上法

意識消失と舌根沈下
意識が消失すると筋の緊張が失われ、舌が後方に落ち込んで、気道を閉塞する(図6)。
図6 舌が沈下し気道が閉塞する

下顎を挙上することにより、気道を開放することができる(図7)。
図7 下顎挙上で気道を開放できる

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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ


