小児の酸素療法ー鼻カニューレ、フェイスマスク

『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。

今回は小児の鼻カニューレ、フェイスマスクについて解説します。

 

 

佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師

 

 

小児は気道が狭く、分泌物が貯留しやすい。
酸素療法を効果的に行うには、吸引などを行って分泌物を除去しておく必要がある。

 

酸素療法の目的

低酸素状態を改善・予防し、心肺機能を維持する。

 

 

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鼻カニューレ、フェイスマスク

カニューレやフェイスマスクは、顔面に装着して用いるため、患児に合ったサイズを選択すること、固定に注意することが必要である。

 

1 必要物品の準備、酸素流量計の装着

❶実施者は手洗いを行い、必要物品を準備(図1)。患児と家族に説明を行う。

 

図1 必要物品

鼻カニューレ、フェイスマスクの必要物品

 

①鼻カニューレ/フェイスマスク
②中央配管用酸素流量計(必要時、微量用)
③ディスポーザブル加湿器 
④指示箋 
⑤固定用テープ(必要時)

 

CHECK!

酸素投与時の加湿は、必要?

酸素投与時には、一般に加湿が行われている(図2)が、鼻カニューレやフェイスマスクでの投与時、低流量(4L/分以下)・低濃度酸素(ベンチュリーマスク 40%以下)であれば、加湿の必要性はないとの報告がある文献4
国際的にも、患者の自覚症状がなければ低流量・低濃度酸素の加湿は必要がなく、医療者の仕事量や時間・コストの削減に有用とされる文献6
口鼻腔よりの酸素吸入は、人間が持つ自然な加湿機能も働くため、必要性の見直しが課題である。

 

図2 酸素投与時の加湿

酸素投与時の加湿

 

❷酸素流量計を中央配管の差込口に装着する(図3)。

 

図3 酸素流量計を中央配管の差込口に装着する

酸素流量計を中央配管の差込口に装着する

 

POINT

■差込口と酸素流量計接続部の凹凸を合わせる。

POINT

■中央配管の差込口は、通常、酸素や吸引、圧縮空気などが並んでいる。
■差込口は、誤接続を防ぐために、接続面の穴の形状が異なっている(図4)。

 

図4 接続面の穴の形状が異なる

接続面の穴の形状が異なる

 

❸酸素の差込口を確認し、差込口のつまみを回しながら差し込む(図5)。

 

図5 差込後の酸素流量計

酸素の差込口を確認しつまみを回しながら差し込む

POINT

■ぐらつき、傾きはないか確認。
■酸素の漏れはないか確認。

 

❹酸素流量計に加湿器を接続する(図6)。
加湿器のチューブの接続口に鼻カニューレもしくはフェイスマスクのチューブを接続する。

 

図6 酸素流量計に加湿器を接続する

酸素流量計に加湿器を接続する

POINT

■低流量・低濃度酸素の場合、加湿器は必要ないとの報告がある。

 

❺流量計のバルブを開き、指示量の酸素を流す。流量計の浮子のセンターが、指示量の目盛りにあることを、指示箋を指差して確認する(図7)。

 

図7 流量計の浮子が指示量の目盛りにあるのを指示箋と確認する

流量計の浮子のセンターが、指示量の目盛りにあることを、指示箋を指差して確認する

 

2 鼻カニューレ・フェイスマスクの装着

鼻カニューレの固定/その1

鼻カニューレを患児に装着する。酸素チューブを鼻孔に入れ、2本のチューブを顎の下、もしくは頭頂部でまとめて輪で固定する(図8)。

 

図8 2本のチューブを顎の下でまとめて固定する

2本のチューブを顎の下でまとめて固定する

 

鼻カニューレの固定/その2

頭頂部で固定する場合は、カニューレがずれないよう頬に固定用テープでとめる(図9)。

 

図9 頬に固定用テープでとめる

頬に固定用テープでとめる

 

POINT

■カニューレを装着してから酸素を流すと不快感がある。装着前に酸素を流しておく。
■固定用テープの位置は時々変え、皮膚の損傷を予防する。

 

フェイスマスク

フェイスマスクは、患児に合ったサイズを選んで装着する(図10)。ゴムを頭の後ろに回し、両耳にかけて固定する。
マスクのとがったほうを鼻、丸いほうを顎に当てる。

 

図10 患児に合ったサイズを選んで装着する

患児に合ったサイズを選んで装着する

 

POINT

マスクの不快感を和らげるには

■ゴム接触面の皮膚に損傷がないかを観察する。
■ゴムはきつすぎないよう注意。時々、圧迫をゆるめる。
■患児がマスクや酸素の臭いを嫌がる場合、マスクの内側にバニラエッセンスなどの香料を塗ると、嫌がらずに装着できる場合がある。

 

CHECK!

酸素療法を行う際の注意点

口鼻腔に分泌物が貯留していると、効果的な酸素投与ができないため、事前に吸引などを行い、分泌物を除去する。
また、上体を挙上している場合は、気道を確保し、安楽な体位を整えることが大切である。
加湿に伴う結露や湿潤から体温の低下をきたすことがあるため、衣類や体温調節に配慮する。

 

 

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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ

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