車椅子座位時の拘束
『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は車椅子座位時の身体拘束について解説します。
江村真弓
綜合病院山口赤十字病院/皮膚・排泄ケア認定看護師
車椅子座位時の拘束
看護の現場では、安全確保のためやむをえず車椅子座位時に身体拘束を行うことがあります(図1)。
身体を拘束された患者は、拘束されていることから逃れようと自力で何度も立ち上がろうとすることがあります(図2)。
そのような立ち上がりの動作で抑制具が接触する部位に摩擦・ずれ力が加わり、接触部位に創傷を形成しやすい状況になります(図3)。
そのため、抑制具接触部位の皮膚の観察と予防的スキンケアを実施することが重要です。
また、体動が激しい場合や長時間車椅子座位が必要となるときは、徐々に座位姿勢がくずれ前座りになりやすいものです(図4)。
そうなると、坐骨~尾骨部にかけて部分圧迫とずれ力が加わり、容易に褥瘡を発生してしまいます。
部分圧迫やずれ力を緩衝する機能を持つジェル等を単体で使うか、またはハイブリッド構造を有する座面クッションを用いる必要があるでしょう。
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』 編著/田中マキ子/2014年8月刊行/ 照林社